1. 視野の使い方とポイント
- 目が見えにくい人でも視野をうまく使うことで生活を改善できる。
- 国立障害者リハビリテーションセンター・自立支援局 神戸視力障害センターでは白杖訓練や生活自立訓練の他に、視野をうまく使って見るための訓練を行っている。
- 視野について知る必要がある。例えば、一般的に視野10度の見え方は半径10度、直径20度と考えることができ、直径20㎝程度の円が見える程度と言える。
- 視野が狭いと遠くは見えるが近くが見えないことが多く、目線を下げることによって近くも見ることができる。
- 視野欠損がある人でも、視力が残っていれば顔の向きを変えることで見える部分を見つけることが可能である。また、優位眼と言って、左右どちらかで見えやすい場合もある。
- 自分の視野を知るためには、同じ対象物を毎日見続けることで理解することができる。
- 見る訓練(眼球運動)にはトレース、スポッティング、トラッキングなどがあるが顔ではなく、目を動かすことが大切。
- 訓練を続けることは、眼の運動だけでなく、脳も同時に訓練することであり、途切れた部分、見えない部分を見えるようにしたり、全体像を見せる力を養うことにもなる。(脳が見えない部分を補正する。)
- 自分の視野を知るにはどこが見えていないかを意識し、見える部分を見つける。
2. 神戸視力障害センターについて
- センターでは入所・通所での訓練のほか、集中訓練(5日から1か月半)や訪問訓練も行っており、視覚障害を持つ人、ひとりひとりにあった訓練プログラムを行う。(オーダーメイド感覚)
- 対象は原則18歳以上。
- 訓練はロービジョン、パソコンなど。
- 集中訓練では土日を含むコースも考えられる。
- 入所の特長は日常生活から離れて訓練に集中できる。
- 通所の特長は仕事や社会生活とつながりながら訓練を行うことができるので不安が少ない。仕事を休職・退職することは精神的な不安につながることが多い。
- 訪問はセンターから日帰りで行ける範囲に限られるが、自宅や生活エリアでの訓練を行うことができる。
3. 白杖について
- 歩くための補助具としてだけでなく、白杖で障害物を見つけることができる。
- 障害物を避けるのではなく、手や白杖で障害物に当たって知ることにより、障害物を避ける方法もある。
- 白杖は長さや形状など、自分にあった使いやすいものを選ぶ。
- 訓練は近くで確実に学べるところを選べばよい。
- 白杖は全盲の人だけが持つものでなく、見えにくくなったら持てばよい。
- 歩行訓練を受けるとさらに歩きやすくなる。
- 白杖を持つとシンボルとしても活用できる。
- 普段は視覚障害者と気づいてもらえなくても、災害時など緊急の場合に持つことで気づいてもらい、支援を受けることができる。
- 値段は3千円から1万円くらい。障害者手帳があれば1割負担で購入できる補助制度もある。
4. 視覚障害者の就職・復職について
- 職業訓練は日本ライトハウスで行っている。
日本ライトハウス
(新しいタブで開きます) - タートルの会では就職・復職についての相談を受け付けている。全国組織。
タートルの会
(新しいタブで開きます) - 視覚障害を持つ就労者の心理的サポートはHOTPOT(ホットポット)の会へ。
2か月に1度、大阪で定期的に集会を行っている。
HOTPOTの会
(新しいタブで開きます) - 神戸アイライト協会でも通所施設を運営しており、趣味や手工芸、生活上のパソコン操作の訓練を行うほか、収入を得たい人には点字印刷や手工芸品の製作を行うなど仕事も紹介している。
- 子供は病気を受け入れられるが、親を悲しませたくないために見えるふりをするなど、無理をしてがんばってしまうことがある。
5. 日常生活の中での困りごとと工夫
- スーパーの値札が見えにくい。
→スーパーではサービスカウンターへ行き、買い物の手伝いを頼む。 - コープの個別配達サービスでは、カタログの代わりに音声テープでの商品紹介があり、欲しいものをテープに録音して注文することができる。
- ネットショッピングを活用。値段や商品紹介を読むだけでなく、聞くことも可能。品質の判断はレビューを読むとわかりやすい。ネットショッピングであれば、値段もわかり、支払いもカードでできるので簡単。
- 電子マネーは便利だが、レジで読み取り機がどこにあるのかわからないことがある。携帯電話であれば、音声で残額を知ることができ、チャージもできるので便利。
- 買い物にガイドヘルパーを使うこともできる。申請が必要だが、資格を得ておけばいつでも使えるので便利。
- ガイドヘルパーの利用には、以前は障害者手帳が必要だったが、最近は医師の診断書や意見書を提出し、実際に生活に不便があれば認められるケースもある。ただし、支給量に変動がある。
- 家事を行う上での工夫など情報収集はどこですればいいか?
→きんきビジョンサポートの「茶・い・夢」では40歳前後の女性が月に一度集まり、生活上のことからファッション・健康に至るまで様々な情報を交換し合っている。
茶・い・夢
(新しいタブで開きます)
6. 病気の進行と老眼の関係について
- 文字が見えにくくなってきたが、眼(網膜)が悪いのか老眼なのかわからない。
→メガネなどを使って見えれば老眼だと言える。 - 遠近両用メガネは視野の狭い人にとっては見える部分が限られるので使いにくいかもしれない。そういう時は、ポータブルの拡大読書器を使うとよい。
- コントラストを変えると見えやすくなることもあり、コントラストを変えるためには拡大読書器などの装置を使用するだけでなく、カラーセロファンを使うことで見え方を改善できることもある。
7. パソコンの使用について
- 白黒反転すると文字が見やすい。
- マウスが使えないので音声を聞きながらで操作する。
- ホームページやメールを読み上げてくれるソフトがあるが、音声対応になっていないホームページは読み上げ不可。また、ユーザー側からの設定変更はできない。
- 会社などで他の人の迷惑になる時はイヤホンを使用する。
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ポインターが見えにくい場合はどうすればいいのか?
→ポインターを大きくしたり、円で囲んで見えやすくする。設定方法
スタート→コントロールパネル→マウス→ポインターオプション→「ポインターの位置を表示する」を選択。コントロールキーを押すと円でポインターの位置を示してくれる。
他にもポインターの軌跡を表示する機能もある。
8. 外出時の工夫や支援について
- 地域のボランティア協議会などにコンタクトを取って支援してもらえばよい。近くになければ、市町村によって違いはあるが、社会福祉協議会に問い合わせてみたらいいい。
- 神戸アイライト協会ではガイドボランティアがおり、遠方へ旅行を希望する場合など、現地でのボランティアをコーディネートすることも可能。
9. ボランティアについて
- 英会話を習ったり、第九の合唱に参加したいがそのために英会話ができる、楽譜が読める、ドイツ語の歌詞を読める、など専門的が技量を持つボランティアに支援をお願いしたい。知識のある人と一緒にやれば、趣味もさらに楽しくなると思う。
→ネットなどで自分から働きかけてみてはどうか。ボランティアの人は依存されていると察知すると引いていく場合があるので、これをやりたい!と夢を語ってみてはどうか。大学生に声をかけてみるのもいいと思う。
→難しいと思うが自分から積極的に働きかけることも必要。