見えないからこそ、発見できたこと

 会社で内線を回す時のパソコンの画面は緑色で、どうがんばっても見えません。いちいち見てもらわなければならず、歯がゆい思いをしていました。ある時、画面の下の方に番号が出ていることに気がつき、それが内線番号でした。以来、自分で番号を入力してかけていると、周りの人が驚きました。そのことを見える人は気づかなかったのです。私は困っているからこそ気がつけたのかもしれません。
 また、ボールペンで大きく書くよりサインペンで少し大きめに書いて欲しいなど、効率よく仕事ができるように自分の状態を伝えることが大事です。そのことで、私達が見える人を気付かせる存在になれることもあると実感しました。

審査員コメント

 晴眼者の中で働いている中で、気の持ち方によって違いが出てくることを再認識させていただきました。内線番号がわかることで電話の転送ができるようになり、それが自信となって、積極的に周囲に依頼することができるようになったというのは、象徴的です。いくら、「周囲に依頼しましょう」といっても、自分で「ここの部分では」貢献しているという自信がもてる部分がないと難しいのも人情です。

プロフィール

 

川口 育子
契約社員、パートナースタッフ

旅行代理店、広告代理店、番組制作会社など大手から中小企業まで十数社で勤務し、販売、営業、企画、統括業務、ラジオディレクター、日本語教師、塾講師他、様々な職種を経験する。近年は朗読活動に力を入れている。

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