第13回「見えない、見えにくい子供さんを持つ親の集い」

1. 子供の視力・視野検査について

  • 子供は4歳。障害者手帳を取得するためには申請書類に視力を記入しなくてはならないがきちんと検査ができるか不安。親から見ると検査の結果より実際にはもっと視力が悪いように感じる。
  • 測定不能やよくわからない場合は実際の視機能よりもゆるく記入されてしまうことがある。
  • 子供の視力はわかりにくいため、障害者手帳が出ないケースもある。
  • 小さい子供の検査は難しく、一般の病院では専門の医師がいないので診察も難しい。子供病院や東京の成育医療センターには専門医がいるので一般の病院と比較すると検査の精度が高かったり、診察もきちんとできると思う。
  • 子供の見え方は近くで見ている親がいちばんよく理解しているので、そのことを理解してくれ、受け止めてくれる医師や視能訓練士を見つけることがポイント。

2. 障害者手帳取得と年金給付について

  • 手帳取得が人生を左右することがある。取得に伴うメリットとデメリットを十分考慮した上で取得したほうがいい。
  • 手帳を取得することで「本当の障害者」になると思って抵抗があった。しかし、実際に取得してみると、学校での支援が大きく変化した。例えば、校外活動の時などボランティアの補助を要請することができた。学校としても手帳を持っている子供がいることで先生の増員や予算要求の申請がしやすくなるというメリットがあり、先生からも取得していてよかったと言われた。
  • 姫路市では補助具を購入する場合、1級・2級には補助があるが、3級・4級は実費となる。各市町村で制度が違うのでよく調べたほうが良い。
  • 補助具、特にメガネは買い替えの頻度が高く、負担が大きいので手帳を持っていて補助を受けられると楽。
  • 目が見えなくても、見えにくくても働いて収入を得られるということはとてもうれしい。それなのに、働いて収入が多くなると年金が減らされてしまい、働く意欲も失せてしまう。一概には言えないのかもしれないが年金の申請は20歳を過ぎてからのほうがいいかもしれない。
  • 20歳前に申請すると国民年金部分のみの支給となり、20歳以降に働いて収入を得た場合、収入により支給額が増減することがある。年金の申請時期については、申請前に当事者や専門家などよく知る人に相談してからがよい。

3. 学校生活について〜普通校と支援学校・盲学校のいいところと弱いところ〜

  • 中1の子供は普通校に通っているが弱視学級を立ち上げてもらえたので、楽しく学校生活を送っている。子供は自分から目が悪いことを友達に伝え、理解を得ることでいじめられることはない。
  • 特別な道具を使っていると「あの子はちょっと違う」と思われるが、なぜ必要かをはっきり説明すれば理解してもらえる。それからは何も言われなくなった。隠すから陰口を言われるのであって、はっきり言えば誤解されない。
  • 眼が悪いだけでなく発達障害もある。コミュニケーションをとることが苦手で仲の良い友達は一人だけ。外に出るのはつまずいたり、転んだりするのでイヤ。家の中で漫画を読む、ゲームをする、ピアノを弾くのが好き。これでいいのか…?
    →やりたいと思うことで能力を伸ばしてあげたらいい。たくさん友達がいなくても仲の良い友達が一人いれば十分。コミュニケーションを取るのが苦手と本人が思っているなら無理をせず、そのままでいい。本人が本音を言えるような環境を作ることが大切なのではないか。
  • 小学校は楽しく学び遊ぶところだけれど中学校は勉強するところ。中学では勉強する量も増え、とても厳しい。小学校の時は親切で優しかった友達も中学に上がると自分のことで精いっぱいになり、助けてくれなくなるかもしれない。また、助けられなくなった友達ができないことへのジレンマに陥るのもかわいそう。
  • 普通校へ通うには自分ひとりで頑張れるという強い意志と覚悟が必要。
  • 支援学校や盲学校は生徒数も少なく、個別に対応してくれる。反面、友達が少なくてさびしいと感じることもある。
  • 現在、普通中学校の弱視学級に通っている。専門ではないが、専任の先生がついてくれるほか、専任の先生が不在の場合も、授業中は必ず先生が一人ついてくれるので安心。専任の先生は「子供さんは眼が悪いだけ。できることをたくさん気づかせ、自信をつけさせたい。」と一生懸命対応してくれる。その先生の姿を見て、何も言わなくても子供は自然にがんばる気持ちがわいてくるようだ。いい友達といい先生に恵まれ幸せな学校生活を送っている。
  • 子供はいい環境だと自然とやる気がわいてがんばるものだ。
  • 行きたい、興味がある学校があれば、学校見学をしたり、その学校へ行きたいと意思表示すべき。熱意は伝わる。
  • 普通校では担任が変わるたびに親が病気の説明や注意事項を説明に行かなくてはいけない。しかし、子供は親がやっていることを見て、なにをすべきかを知り自分で交渉できるようになる。
  • 義務教育の間はいろいろな支援があるが高校へいくとそうではないし、勉強重視になるので支援学校のほうがよいと思う。
  • 学校や教育委員会へ交渉に行くときは、話すことを忘れないようにメモを作り、きちんと要望を伝えることで相手に気持ちが伝わると思う。

4. 子供への告知について

  • 子供は事実を受け止められる。むしろ、親のほうが揺らぎ、先々のことを心配しすぎる。子供は「現在」「現実」を受け止められる。
  • 親や医師が言わなくても子供は気づいている。
  • 病気の話題を避けるようではいけない。病気をタブー視するのは厳禁。
  • 告知の方法として、医師に説明してもらうとよい。親から説明すると親のフィルターがかかり、「これから不幸になる」という印象を子供に与えかねない。
  • 子供は病気を受け入れられるが、親を悲しませたくないために見えるふりをするなど、無理をしてがんばってしまうことがある。
  • 説明は事実を述べる。しかし同時に、これもできる、あれもできるという価値を広げる方向へ持って行く。

5. 子供への親の思い、子供の親への思い

  • 常に子供を中心に動いていたつもりだったが実際にはそうではなかったところがある。家族だからこそコミュニケーションが大切だと思う。
  • 子供が病気とわかった時、どうして私だけが・・・という気持ちだった。その後は子供が一人で生きていけるように育てなくてはいけないと責任感が芽生え、子供を厳しく育てた。そのとき、同じような病気を持つ他の親御さんと交流できていたら、いろいろな情報が得られたり、心の負担が減ってよかったのではないかと思う。
  • 子供にとって、親の考え方がいちばん影響する。子供は親の行動を注意深く見ているものだ。また、親が求める方向へ動こうと努力するができない子供もいる。子供がやりたいと思うことが大切。子供の個性を尊重してあげてほしい。
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