就労困難者に正面から向き合い、多様な働き方をコンサルティング。
網膜色素変性という自身の障害を理解したいと考え、大学は福祉学部に進学。けれども、健常者から福祉を学ぶこと、自分のプライドが高かったことなど壁にぶつかり、福祉の世界から逃げる決意をしました。そんなときに出会ったのが、人材系ベンチャー企業での経営コンサルティングという仕事。私の視覚障害者としての経験(褒められない、答えがない、嘘をつかれたことがある)が経営者に通じる部分があると知り、自分の出番を感じました。
以来、約10年間。20代前半は経営コンサルティング会社に勤め、ベンチャー企業のコンサルティングを多く担当。20代中頃には独立し、障害者雇用やCSRに関する経営コンサルティングを行いました。
2010年12月より、障害者や引きこもり、生活保護受給者など就労困難者の居場所づくりや職業訓練、就労支援を一貫して行うNPO法人FDAの事務局長に就任。現在、理事長を務めています。10代から60代まで、40種類以上の障害や病気を持つ就労困難なトレーニング生に正面から向き合いつつ、経営者がどのようにして多様な働き方を実現するのか、そのコンサルティングを行うことは私の人生の集大成です。これからもさまざまな業界にイノベーションを起こし、1秒でも早くあらゆる方に「大丈夫だよ」というメッセージを届けたいと思います。
審査員コメント
障害を持つ当事者である成澤さん自身が障害者雇用のコンサルティングを行い、数多くの就労実績を上げているという成果に目を見張りました。視覚障害者はコンサルティング業務や管理的業務に強みを持っていることを実証してくれる好事例ではないでしょうか。 |
プロフィール
成澤 俊輔
NPO法人理事長
網膜色素変性により、20代前半で視力を失う。障害者雇用の分野における当事者、福祉の専門家、経営者という3つの立場を生かし、「世界一明るい視覚障害者」として活動中。現在、NPO法人FDA理事長も兼任している。