第15回「こころとからだの健康を考える集い」

1. 安全な歩行と白杖の有効性について

  • 人にぶつかったり、溝に落ちたこともある。
    →白杖を持つと人が避けてくれる。足元を確認できるのでつまづきにくい。
  • 普段は白杖を使用しないが、人が多いところでだけ使う。
  • 視野について知る必要がある。例えば、一般的に視野10度の見え方は半径10度、直径20度と考えることができ、直径20㎝程度の円が見える程度と言える。
  • 白杖は持っていないが、傘で代用。ただ、傘をななめ前方に出すと傘の先が他人の靴の中に入ってしまうことがある。
    →その場合は、傘の先を地面から離さないようにすればよい。傘で白杖の代用をする人もいる。
  • 白杖でなくても、普通の杖を使うだけで人が避けてくれることもある。
  • 白杖を持っていないと目が見えにくい、見えないことを気付いてもらえず、理解してもらえない。
  • 神戸アイライト協会や神戸視力障害センターでは白杖訓練や相談を受けている。
  • 最近、白杖を持とうと思った。きっかけは白杖を持っている人が一人で颯爽と歩いているのを見て格好いいと思ったから。
  • 白杖を購入したのは10年前、でも実際に使い始めたのは2年前。今でも家の近所で持つのは抵抗がある。でも、人の多いスクランブル交差点で出したら道が開けるなど、白杖があると歩きやすいので使い分ければいい。
  • 階段のくだりが怖く、段数を覚えていて、数えながら降りるようにしている。
    →そんなときこそ、白杖で足元を確認できるので便利。
  • 出張で関東へ行くと節電で暗く見えにくい。また、案内表示も少なくわかりにくい。初めてのところへは白杖があっても行けないのでは?
    →初めての場所、知らない道だからこそ、白杖が便利。危険物の回避、段差の確認など安全に歩行できる。
  • 白杖を持っていても、ある程度のスピードで歩かないと逆にまっすぐ歩けない。
  • 白杖を持つタイミングは?
    →使い方はできるだけ早く知るのがよい。見えているときに学ぶとわかりやすいこともある。使う使わないは自分で決めればよい。目で歩ける人も視覚だけに頼らず、白杖を使うことで楽になる面もある。
  • 白杖は自分が出したくないところでは出さなくていい。困った時だけ使えばいい。
  • 白杖を使うことで歩行に費やすエネルギーを他に回すことができる。エネルギーの使い方はその人の考え方次第。
  • 白杖を使ってどれくらいの人が自分に注目するか観察したことがあるが、都会ほど全く気にしない。白杖は特別なものではなく、意外と気にされていないものだと感じた。

2. 障害者手帳の取得について

  • 取得した場合に勤務先の会社に知られないか?
    →自分で申告しなければわからない。特定疾患も同様だと思う。

3. 見え方(まぶしさ)について

  • 屋外に出ると真っ白に見えたり、雨の夜は路面がギラギラして見えにくい。
    →遮光レンズだけではまぶしかったが、さらに偏光レンズを足すとまぶしさが軽減できた。雨の日は偏光レンズだけでもよい。
  • 障害者手帳を持っていて、仕事で必要ということであれば屋内用と屋外用の2種類を補助してもらえる。ただし、市町村によって違いがあるので確認が必要。
  • 偏光レンズは暗くなることがあるので注意。
  • 遮光レンズもまぶしさを軽減できても、レンズの特性で信号が黒く見えたり、実際の色と違って見えることがあるので、どのように見えるか理解しておくとよい。
  • 同じ場所でも日によって明るく感じたり、暗く感じたりすることがある。
    →見え方は日によって変わるものだと思っていい。血流のいい日と悪い日で違いがあるのかもしれない。血流を良くするには、わざわざ薬を飲まなくても。首を温めるだけでも効果がある。
  • テレビやパソコン画面を見てもよいか?
    →強い光を見続けるのでなければ問題ない。テレビやパソコンの光は影響ないと思うが実験データがない。ただし、眼精疲労の元になる。

4. サプリメントについて

  • 何かを飲むならルテイン。ただし、足りない場合に補う程度でよい。
  • ビタミンについても、その人の病状によって効果に違いがあるので、何か一つを決めて服用するよりも、いろいろなビタミンを摂取したほうがよいのでいろんな野菜が入った野菜ジュースがオススメ。
  • DHAはヨーロッパで治験が行われているが、神経によいとされている。

5. 就業について

日本では

  • 眼が悪いとわかった段階で、仕事ができる・できないに関係なく制限を受ける。同情も嫌だ。
  • 障害者手帳を出した時点で差別される。

アメリカでは

  • 自分の現状をそのまま受け入れてくれる。日本ではなぜ?と問われて説明するがなかなか理解してもらえない。アメリカだったら、説明したことはすんなり理解してくれる。

6. 仕事について

  • 一部の人がサポートしてくれているが特別な支援は受けず、仕事を続けている。
    →必要になったら、仕事を続けるために会社に交渉してくれたり、相談できる支援団体がある(タートルの会)。
  • 就労者の集いでは働く人ならでは情報交換が行われる(HOTPOTの会)。
  • 見えにくいことを会社に告げずに働くのは苦労が多いと思うが、自分の中の苦労があっても、それでも獲得したいものがあるのだと思う。本当にダメだと思うところまでがんばってほしい。

7. 趣味やスポーツについて

  • 兵庫県はスポーツが盛ん。走るのはハードルが高いと感じるが歩くこともできる。伴走だけでなく、伴歩もある。
  • 音楽を教えてくれるところ、先生はいないか?
    →教えてくれる人とのコミュニケーションが大切。特別な先生を探すよりも、身近なところによく理解してくれる先生がいるかもしれない。
  • 好きだと思うことを続けていれば成功する。

8. 子どもの進路や将来について

  • 子供にとって何が大切か、進路を見つけてあげなくてはいけない。進路選択の上で病気のことをどれくらい考えるべきか悩んでいる。
    →進行度を知った上で考えればよく、それによって5年単位、10年単位というように中長期の計画を立てればよい。
  • 子供のことで悩んでいた時に患者会を知って、病気を持っていても明るく前向きに生きている人に会うことができ、気持ちが軽くなった。子供と同世代の人には会わなかったけれど、参考になった。たくさんの人に会って、教えてもらうことで元気になれた。

9. 疲れについて(目が見えないと疲れやすい?)

  • とても疲れやすいが目が見えない、見えにくいことと関係あるか?
    →目が悪くなると他の感覚器官が発達する(脳の可塑性)。そのため、疲れやすくなるのかもしれない。
  • 視覚は見えるものをすべて見る、聴覚は聞きたいものだけを聞き分けて聞くことができるが、目が悪くなるとすべての音や声を敏感に聞いてしまって疲れる(疲れ耳)。
  • 見えにくくなってから、はっきり見ようとするから疲れる。
  • 見えていた時にはあまり一生懸命に見ないで、流し見していたのではないか。拡大読書器もボヤーッと見るのが疲れないコツ。
  • 後でやろうと思っていると忘れてしまってそのままになることがある。
    →見えていた時なら、見ることで思い出していたのかもしれないが、見えなくなってからは思い出せない。「後で」はなく、すぐやることが忘れないコツ。
  • ICレコーダーにメモを残しても、それが見えないと忘れる。

10. 話題に出た関係連絡先

視覚障害者の就職・復職について

  • タートルの会では就職・復職についての相談を受け付けている。全国組織。
    タートルの会
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  • 視覚障害を持つ就労者の心理的サポートはHOTPOT(ホットポット)の会へ。2か月に1度、大阪で定期的に集会を行っている。
    HOTPOTの会
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  • 神戸アイライト協会でも通所施設を運営しており、趣味や手工芸、生活上のパソコン操作の訓練を行うほか、収入を得たい人には点字印刷や手工芸品の製作やUDホームページ作成管理作業も実施している。仕事も紹介している。
    神戸アイライト協会
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  • 子供は病気を受け入れられるが、親を悲しませたくないために見えるふりをするなど、無理をしてがんばってしまうことがある。

生活の中の困りごと相談、歩行訓練について

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