第122回「見えない、見えにくい子供さんを持つ親の集い」

1. 教育機関について

  • ●神戸市立盲学校
  • 対象:視覚に障害のある子ども。幼~小(1~3年)・中・高等部 本科専攻科もあり、3歳~60代までの人が学んでいる。生徒の見え方は全盲+弱視(見えづらい)。
  • 入学基準は両眼がおおむね0.3未満、視野障害のある人。
  • 視覚障害単一でなく重複障害もある。神戸市在住の人のみ。
  • 場所:神戸市中央区。JR神戸から徒歩5分の立地。全国70校の中でも交通の便がよい学校
  • 内容:教員は全盲と弱視が10名程度。生きていく力を学んでいける。
  • 「見えなくても見えづらくてもできる」自立活動を目指して、視覚補助具の活用、点字の学習、白杖での歩行、ICTの活用などを学校生活全般で身につけられるように指導している。
  • 4月入学、3月卒業。授業は月~金まで。
  • 学校なので学校行事あり。
  • 理療科は60歳代でも入学できる。
  • 少人数制のメリットとして、何でもできる=人数がすくないので役職などやらなくてはいけないことが経験になる。半強制的に多様な経験ができる。
  • 授業は机・ライトなど見やすさ重視。
  • クラブ活動はゴールボール パラスポーツ部活動など月2~3回。やりたい生徒はクラブ活動を2~3個好きなものを選んでやっている。フロアバレー、水泳、柔道、ブラインドテーブルテニス、ハンドセラピー、和太鼓、茶道など多数あり。
  • 設備等:プール(屋内)、スクールバス。
  • 給食:あり
  • その後の進路:幼稚部→盲学校、地域の小学校
             小→盲学校、地域の中学校
             中→盲学校、一般高校
             高→理療科、一般大学、専門学校、筑波技術大学(国立)など
  • 就職:ある(少ない)、ハローワークとの連携あり。
  • 重複障害の場合はB型就労施設など
  • 専攻科 国家資格取得後治療院、ヘルスキーパー、介護老人施設、訪問医療マッサージなど ※年齢制限なし 卒業時70歳の人がいた
  • 入学相談:随時行っている。電話で相談・見学の申し込みを。
  • 学費:無料。就学援助費で補助があるのでほぼ自己負担なし。
  • ●兵庫県立視覚特別支援学校
    対象:幼3歳から小・中・高等部 本科普通科。兵庫全域にお住いの方。
    場所:神戸市垂水区
    内容:視覚障害+知的障害コースあり。
    理療科 3年で国家資格取得。中学卒後、高校卒後に入学できる。
    学費:授業料、教科書無料、副教材は実費負担。
    設備等:寄宿舎。
    教育相談:地域で学びたい子供の相談アドバイスは0歳からOK
    保護者、関係者、先生(教材、補助具、担当に関する相談)、生徒の相談もOK
  • ●他府県の視覚特別支援学校について
    ・柔道整復師、理学療法士(大阪南)のコースあり
    ・音楽科あり
    ・情報処理コースあり(筑波技術大学、要授業料)

2. ヘルスキーパー就職事例

  • ・盲学校卒業後ヘルスキーパーとして就職。
    ・盲学校では理療の授業の他に週1回くらいiPadの授業があった。授業内容は10年前とは変わってきた。
    ・教科書はUDブラウザを利用。
    ・国家試験ではデイジー、PCが使用可能だが、書く必要がある。PCだけでは国家試験に対応できない。
    ・授業では単眼鏡使用。板書はスマホで写真を撮ってから確認した。

3. 普通校学習事例

  • ・拡大教科書と単眼鏡を使用。中学ではiPadを使おうと思っている。
    ・UDブラウザに申し込みは?いつどのタイミングで?
    →申請は早めに。夏に採択されて冬に申請することになる。紙の教科書を入手してからなので遅れる。入学した学校だけでなく盲学校の教育相談からも申請できる。

4. 通級学習事例

  • ・小学校の時は通級だったのでUDブラウザは盲学校で申請した。
  • 中学からは個人で対応となった。中学で新しいiPadを配布されたのでiPadにインストール。入学してからの申請になったが、4月中には手元にあった。
  • ・先生への弱視教育になり、知ってもらえた。
  • ・東京では弱視通級があり中学も引き続き行われる。
  • ・中学になると通級の先生のフォローがなくなった。見えやすいチョークの色など先生と相談しながらやっている。
  • ・体育の授業がむずかしい。

5. 海外留学事例

  • ・中・高は普通校で合理的配慮がなく、大学は日本でなくアメリカへ留学。
  • ・アメリカはシンプルに自分がどれだけ自分のことを伝えられるかという能力が必要だった。伝えれば100%やってくれる。新しい先生に会うたび伝えてやってもらった。
  • ・学生のチューターに添削をお願いしたり助けてもらった。
  • ・黙っていると問題ないと思われるので必ず自分からやってほしいこと、困っていることを言うようにしていた。
  • ・日本の場合、専門の人が間に立って伝えてもらう必要があるかもしれない。
    特に中・高生は自分で伝えることが難しいので後ろ盾(親など)が必要。

6. 勉強の仕方について

  • ・勉強のスピードが速くなった。見え方と勉強のバランスが難しい。塾はどうする?
    →塾の合理的配慮がない。
    ・塾の選び方は?
    →塾に確認・相談を。
    ・受験・試験は?
    →定期考査はUDブラウザ試験モードで受けられる。
    ・宿題で時間がとられるが予習が大切。一度でも読んでいく。
    ・資料・ワークは拡大文字版がない。
    →iPadに取り込んで拡大して見る。
    国語の便覧は文字情報が多い。見つけた頃は終わっていることがある。

7. 学校の先生について

  • ・多くの先生が関わるので理解が十分でないことが多い。
    →本人が困ったことを言えるようにする。

8. 盲学校への転校について

  • ・普通校から盲学校へ転校できるが原則4月からとなる。
    ・見え方の状態が急に変われば途中転校が可能な場合もあるので要相談。

9. 大学受験について

  • ・一般大学進学の受験では事前に配慮申請を行う。
    ・豊かな学校生活を送るために受験前に大学との交渉が必要。受験前にキャンパス見学に行き、担当者と相談しておく。
    ・視覚障害のある人が行く学部は?
    →特に制限はないが、理系より文系が多く、美術系もある。入学してから困らないように事前の相談が必要。大学側がさまざまなサポートを準備しているが大学によって配慮が違う。先輩の話を聞いて参考に。
    ・AO入試あり。

10. 歩行訓練について

  • ・盲学校の在学生の歩行は学校の歩行訓練士が行う。親の見守りもあり。
    ・教育相談の子供は他機関で訓練を受ける。
    ・大学進学後は大学までの歩行訓練を。
    ・歩行訓練を受けても一人で行けない場合、同行援護を使える。

11. 情報収集やつながりを持つことが大切

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