既存の製品シグナルエイドを用いた、
SOSサインの発信・受信システム。
街なかで困っても、支援を求める声を出すのが苦手な視覚障害者は多いはず。歩いている方々も、「どう声をかけていいかわからない」と支援できずにおられます。そこで、困ったときに小型携帯端末のボタンを押せば、その電波を受信して光る信号機や音声装置を、駅やバス停、歩道、店舗や施設などに設置。装置が光や音でSOSサインを発すると、サインを受け取った方々が困っている視覚障害者に気づき、声をかけるというシステムを提案します。使用するのは、エクシオテックの「シグナルエイド」という製品で、日常生活用具給付対象品に指定されています。既存の製品を活用することで、一から開発しなくていいというメリットがあります。
通勤時の困難も解消できます。視覚障害者が企業に採用されにくい理由に、労災事故の懸念もあると聞いたことがあります。最近は、時差通勤や自宅勤務などの配慮もありますが、多くは健常者と同じ通勤が求められています。困ったときに「困った」と言える環境を整えることも、事故を未然に防ぐ方法の一つ。なお、アイデアの実現には、エクシオテック、総務省、国土交通省、鉄道・バス事業者、企業や行政などの協力が必要だと考えています。
審査員コメント
盲学校には、鍼灸マッサージの技術は高くても、歩行能力が不十分で通勤に自信がないために就職先の選択肢が制限されるという生徒がいます。在宅就労などは別として、視覚障害者が職業スキルを発揮するためには、安全に通勤できることが大前提。その意味で、視覚障害者の就労の可能性を広げるための基礎となるアイデアだと思います。 |
プロフィール
井上 直也
MDSiサポート代表/認定NPO法人タートル/NPO片目失明者友の会/パソコンボランティア青梅
高校卒業後、企業で8年間営業職を務め、4年間飲食店で勤務。2014年に両眼とも網膜剥離の診断を受け、右目は失明していたことがわかる。現在は両眼ともに全盲。2016年に視覚障害者向けのiOSのプライベートレッスンを開始し、同年MDSiサポートを開業。現在は、iOSを用いたデジタルロービジョンケアを行っている。