沢山の人に支えられた幸せな人生、豊かなものに導いてくれた「保育の仕事」に心から感謝!

 32歳の時に受けた検診で網膜色素変性症と診断され、それまでに何の自覚症状も無い私にとって医師からのその言葉は到底受け入れられるものではなく頭が真っ白になったことを今も忘れることができません。
 母を看取り、しばらくして以前勤めていた保育園の園長先生から戻ってこないかと声をかけて頂きました。
 保育園に戻りたい気持ちと同時に、眼の病のことを考えるとやはり不安の気持ちの方が強く、担当医師に相談し、背中を押していただき園に戻る決意が固まりました。
 しかし、眼の病状の悪化は進み、園長を担ってから10年を迎える頃、理事長に園長退任を申し出ましたが、理事長は『見えにくい事も全部含めてあなたなのだから、ありのままで良い。出来ないところは職員がカバーしていくので出来る事をしてくれればいい、必要とされている限りは続け、子どもたち、職員の笑顔が輝くように環境をしっかり整えて下さい』と諭され、その後も理事長に退職を申し出る度に、同じ返答で退任を許していただけませんでした。
 これまで長きに亘り、園長の責務を果たせてこられたのも理事長、職員、保護者の皆様、そして何より子どもたちのたくさんの笑顔に支えられてきましたこと“感謝”に堪えません。
 私の人生を豊かなものに導いてくれて今もそうあり続けてくれている「保育の仕事」に心から“感謝”です。

審査員コメント

 何度も退職を申し出たがその度に諭されながら26年間保育園園長を務めた、というのが素敵。これぞ真のヒーロー、みんなが応援したくなるような人間力の持ち主なのでしょう。
 視力が低下しても「やりたいことやあきらめたくないものを手放す必要はない。必ず乗り越える方法があるし、豊かな人生を送ることができる」と伝えてくれています。周りの人々も温かく、素晴らしい!

プロフィール

 

田場 春江
1955年 兵庫県尼崎市生まれ
1977年 22歳 保母(現在は、保育士)資格・幼稚園教諭二級免許取得
1987年 検診にて網膜色素変性症の診断を受ける
1996年 41歳 うるま保育園園長就任
2014年 59歳 立花うるま保育園園長就任
2022年3月31日 67歳 園長退任
現在は、法人の役員として、クラス担任の補助的な役割などを担っている。

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