第37回「日本ライトハウス展を楽しむ」

1. 機器展示

  • 出展業者・団体 全37ブース
  • ウェアラブルカメラと外出支援機器体験
    →センサーが障害物を感知して知らせてくれるシステム。
  • iPhone体験
    →基本操作の他、GPSを活用したルート検索や紙幣識別、色柄認識など最新のアプリを体験。

2. 平見恭彦先生(先端医療センター病院眼科医長)講演会

「神戸アイセンター(仮称)の目指すもの〜治療から就労支援まで」

現在やっていること

  • 理研と共同で行っているiPS細胞を使った再生医療(臨床研究)は実施後1年経つが経過は順調。
    滲出型加齢黄斑変性で繰り返し起こる新生血管もなく、治療のために必要だった注射もしなかった。
  • 臨床研究の対象疾患は加齢黄斑変性で、日本ではこの病気の人が60万人いると言われている。
  • 加齢黄斑変性の現在の治療法としてはレーザー、薬剤投与(眼球への注射)、血管抜去が行なわれているが再生医療は新しい細胞に置き換える治療法である。
  • 網膜の細胞の置き換えについては昔から他人の網膜の細胞を移植したり、自分の網膜の端っこの方の細胞を切り取って移植する方法があったがそれぞれに問題点があり難しかった。
  • 自分の皮膚や血液からつくられたiPS細胞から作った網膜の細胞は拒絶反応は起こらないが安全性評価に時間と労力を要する。

これからやっていくこと

  • 日本に4〜5万人の患者がいるといわれている網膜色素変性の治療法開発で、この病気は視覚の障害者手帳を持つ人の中では3番目に多い病気である。
  • 視細胞の病気で、最初に光を受け取る部分を置き換える。
  • 現在、根本治療はなく、細胞移植による治療の他、進行を抑える薬や遺伝子治療、人工網膜の研究が進んでいる。
  • 患者から作ったiPS細胞は培養して増やすことが難しい場合もあり、安全性検査を毎回やるのも大変。
  • CiRA(サイラ)では治療に使えるiPS細胞ストックを使った他家移植の(他人の細胞を使用する)研究を始めており、白血球(HLA)の型を合わせると拒絶反応なく移植することが可能と考えられている。
  • 細胞ストックは70〜80種あれば日本人全体の80%をカバーできると言われている。
  • 我々も他家移植を計画中である。

神戸アイセンターについて

  • 神戸医療センター中央市民病院の眼科と先端医療センター病院の眼科が一緒になる。細胞培養施設や研究室もでき、治療だけでなく研究やロービジョンケアもできる施設になる。
  • 病院でのロービジョンケアは障害者年金や障害者手帳の診断書の作成、眼鏡・遮光眼鏡、拡大読書器などが処方できる予定。また、病院外で点字やパソコン、歩行訓練や日常生活訓練などが行なえるように関係機関と連携・協働する。
  • 病院は患者さんが病気を治すためにくる場所であるが、ロービジョンケアを受けるきっかけとして我々が病院内外をつなぎ、まずは病院でやってみて、いいなと思ったらより高度な支援を受けたり、通いやすい自宅近くの施設に行くようにすればいい。
  • 新しい視覚障害支援開発も行う予定。
  • 障害者年金や障害者手帳などの必要な情報も提供

質問と回答

  • サプリメントの効果は?
    →心の支え程度に考えるとよい。ルテインやDHAは網膜色素変性の進行を遅らせる予防効果があると言われている。
  • 錐体細胞の治療は?
    →非常に難しい。まだ、見通しは立っていない。
  • 網膜色素変性の臨床研究第1号はいつ頃?
    →3〜4年先の予定。
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