第102回「ゆったりほっこり。心がゆるむタクティールケア」

 

①タクティール・ケアとは

 講師:前田 たまよさん 沖縄県在住
タクティールはストレス、心に効くケア。
人に触れる、自分の体に触れられることで威力が発揮される。
病院で顔を見ないで診療されると淋しい。ちょっとした診療の時間、肩をたたかれるだけでも落ち着く。言葉かけも安心する。
ストレスを抱えたり、つらい出来事があったときは特に人のぬくもりを感じる。

②タクティール・ケアの施術法

服を着たまま、服の上からゆっくり触れる(10分)。1秒間に5cm進むくらいゆっくりと、太ももからひざにかけて丸い円を描くように皮膚が動かないように表面にやさしく触れる。
基本的には自分でするものではないが応用で自分自身にもできる。
指も触れるか触れないかくらいの弱さ→脳に直結してすぐに伝わる。ゲートコントロール。押す、もむは刺激に痛みとなる。人それぞれ感じ方は自由。
こりをほぐす、痛みをとるのではなく触れていることに集中するだけ。
触れられる人も自由な感覚で。感想もいろいろ。
光が見えたお母さんのお腹の中にいるみたい。包まれている安心感。守られている、存在を認められている自分はここにいたんだ。ここに手があったんだと気づく。目が見えない方は触覚がするどいのでするどい感覚があると思う。
動画(YouTube)でも紹介しているが、実際に触れるのはちがう。

③タクティールの目的は?

安心と穏やかさを受け取っていただくこと。
ゆっくり触れると心が落ち着く。脳内から心地よいと感じるとオキシトシンという幸せホルモンが出る。
呼吸がゆっくり穏やかになって、血液の流れがよくなる。身近な人と繰り返し行うとオキシトシンが出やすくなる。オキシトシンが出るのは、触れ始めて7分後くらいに出始める。途中から眠くなったり、痛みがやわらぐ効果がある。
オキシトシンは触れられた人だけでなく触れている人には3倍のオキシトシンが出る。癒すことで自分も癒される。
看護師・介護職員が触れることで、がん患者の痛みをやわらげる効果があると言われている。他にもストレス緩和、認知症の軽減、徘徊にも効果があると言われている。
おだやかな性格だった人が暴言を吐いたり、暴れる人がいてもタクティールケアでその言動が軽くなると言われている。
胃カメラ検査の前に体をゆるませて施術すると痛みが軽減される。
統合失調症や発達障害などネットで改善された事例も報告されている。

④タクティールはどこで受けられるの?

 沖縄・那覇空港から1時間半のカヌチャリゾートホテル。ホテル内のサロンでメンタルケアとして営業している。ゴルフ場が有名。長期療養している人もいる。緑に囲まれたホテルで海を見ながら、鳥の声をききながらゆったり過ごせる場所。
ほかの施術してもらえるところはネットワークがなくてどこにいるかわからない。講習は京都、滋賀で行っている。

⑤タクティールの資格取得は?

 リンパマッサージや整体は知識がないと資格がとれない。タクティール・ケアは子供でも家族でも、友達でもできる。コミュニティの中で人と人とのふれあい、信頼度がふれあいを通して変わってくる。

⑥タクティールの歴史

 スウェーデン生まれ(1960年代)。
未熟児の看護のために生まれた。触れることで体重が増え、バイタルが安定するなど研究された。日本には2006年頃に入ってきた。
東京に資格を発行している会社がある。看護師、介護職員の受講者が多い。沖縄には200人の資格をもっている人がいる。
一般社団法人をたちあげて一般の人に広めているがすべての看護師が知っているわけではない。

⑦タクティールのこれから

 身近な人同志、学校、生活の中でやりたいと思い、SNSで情報を発信している。
YouTube 「タクティールケア物語、沖縄から始まる」
FB「前田 たまよ」、インスタでタクティールのことについて発信している。
インスタグラム instagram.com/tenotikara
企業研修にも活用されている。
大切な人に伝えたい。○○さんにやってあげたいと思うようになる。

⑧本格的に講習を受けたい場合は?

 2日間の講座(歴史、手順、理論のテスト)
費用は66,000円
お問合せは一般社団法人 スウェーデンケアジャパン
Tel:098-989-8206
メール:braimeisteruryu@yahoo.co.jp
体験会あり

 

⑨Q&A

 Q1.腰が痛いときは?

 A痛いところよりも背骨のあたりを、円を描くようにゆっくりさする。何度も繰り返し。
両手をあわせて時計回り(右回り)1秒間に5cmの速さで。肩甲骨の間の背骨のあたりが一番重要なので重点的に。

 Q2.さする方向

 A.中央から末端へ

 Q3.ツボは?

 A.ツボはない。皮膚に触れる刺激(信号)。

 Q4.体調が悪い場合は?

 A.背中に触れる。
鎖骨、脇腹まで触れていく。腸骨(背面のみ)
背中に触れられない場合は手足で触れられるところでよい。

 Q5.暑い時、おしぼりは冷たいほうが気持ちよいがオキシトシンは出るか?

 A.温度は決まっていない。冷やすのではなく温める方向で。

 Q6.慢性通をもっているが足(もも)も痛い。ももはじっとしている時に痛い。どこに触れればよいのか?

 A.どこに痛みがあっても背中が基本
スピードをゆるめて触れることが痛みを軽減する。
小さな円から大きな円にして5周、外側のラインを3周(表と裏の境目)
6~7周目で腸骨や鎖骨に触れる。あなたの体はここまでと認識させる。
6種類の動きを10分かけてやる。

 Q7.看護師をやっていた。亡くなる間際の方の手を握り、声をかけるタッチケアをやっていた。家族は何かしたいけど何をすればよいかわからない。

 A.タクティール・ケアは手順があるので伝わりやすい。看取りの現場でも使える。その場合、手順は関係なく、声かけだけでもOK。ありがとうという言葉だけでも気持ちは伝わる。

看取り師は看取りの場面で触れる。タクティールは赤ちゃんからお年寄りまで。
体験会の時、背中と手を受けた方が自分は何も感じないと思っていた人が10分終わった後、笑いがこみあげてくる。笑ってもいいですかと言われた。2週間後、友達に話していると楽しくなると言われて周囲の人への影響もあり、喜びの循環が生まれた。
元気になってほしいとは思うけど、やっている時は自分も心地よく、ご本人にどういう変化がおきるかは後のお楽しみ。

 Q8.触れるのは服を着たままがよいか?

A.手足はオリーブオイルを塗ってなめらかにしてやる。
背中の場合は服の上から、服を脱ぐ場合はオイルを使った方がよい。

 Q9.オイルの香りは気にならないか?

A.タクティールは香料の入っていないオイルを使い、そのあとに香りを使う。

 Q10.手の使い方は?

A.背中の場合は手のひらから指をひとまとまりにして、背中の凹凸にそわして、柔らかく広げて触れる。手足は接地面積を大きくする。

 Q11.施術後の気持ちは?手に気持ちが表れるのか?

A.インストラクターによる。技術は練習すれば身につく。心は磨き続けなければいけない。
目の前の人に対して、自分自身が瞑想している状態。何も考えない。性別も関係なく触れているだけ。無の状態。タクティールは手順を覚えてしまえば何も考えないでできる。会話もしない、無言 言葉を使わないケア。
寝つきの悪い子供のかかとを手で包んだり、足をさすると寝る。触れることは自分のことを大切にされている心の安定につながる。

 Q12.施術の適した時間は?

 A.決まっていないが食後すぐはダメ。寝る前にするとそのまま寝られるので不眠の方は夜がよい。朝でもよい。

 Q13.照明は?

 A.自然の光、照明を落として。音はうるさくないように。無音、静かな方がよい。好みでBGMをかけてもよい。

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