【就労事例部門】MSP賞④井上 邦男

障害者合同職業説明会に参加し、前職のスキルと会社の要望が一致。

 郵便局に勤めていましたが、網膜色素変性のため車の運転ができなくなり、退職。職業安定所を訪れたとき、障害者合同職業説明会のポスターを見つけ、訪問しました。そこで、現在勤めているシメックスに応募し、いったんは不合格になったのですが、数か月後に連絡があり、採用が決まりました。
 仕事は前職でのスキルを生かせる荷受室での業務で、主に事業所の荷受室管理、環境関係、セキュリティ装置の管理などです。現在の視野と視力で問題なく勤められています。ただ、冬場の帰宅時の暗さが私には厳しく、勤務時間を30分早く開始し、早く退社できるよう便宜を図っていただきました。事務所内の蛍光灯の光が届かないところには、蛍光灯を追加してもらいました。
 仕事で困ることは、視野狭窄。一度に見て取れる情報量が少ないことです。たくさんの荷物が到着したときは時間をかけて確認する必要があります。今のところ改善策はなさそうですが、同僚の方が私の病気をよく理解していただいているのでとても助かっています。私から自分の状況を詳しく説明したことで理解を深めていただいたのかもしれません。
 県や市が主催する就職説明会はそれほど頻繁に行われてはいませんが、私が参加したときは結構、一流企業が集まっていました。機会があれば利用してみてはいかがでしょうか。

審査員コメント

前職のキャリアを十分に生かし、自身で工夫しながらスキルを習得して職場で活躍されています。自分のできることを周囲に積極的に発信している姿勢は共感できました。視覚障害者の継続就労という面で、希望を抱かせてくれるものだと思います。

プロフィール

 

井上 邦男
嘱託社員

シスメックス株式会社 施設管理部 ソリューションセンター管理課の嘱託社員として、すでに10年継続して勤めている。10年前と比べ前方下部の視野が欠けてきたが、時間をかけ、同僚の理解を得ながら業務をこなしている。

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