視覚障がい者だからこその強みを発揮し、
多くの選択肢を持てる社会へ

 現在社会的課題として障がい者雇用促進が挙げられています。しかし本来の社会が目指す障がい者雇用が実現されているとは言い難い現状です。そんな中、特に視覚障がい者のキャリアはかなり限定されてしまっています。その要因として視覚障がいの最大の課題は移動とコミュニケーションと思われています。それ故に、視覚障がい者が仕事をするうえで、見えない=何もできないと言った、世間の固定観念こそが若い視覚障がい者の意欲やキャリアパスに影響を及ぼしていると考えています。
 しかしながらそのような現状の中でも、大学進学、アメリカ留学、国際機関勤務と自身が望むキャリアパスを歩む視覚障がい者がいるのも事実です。その強みは「情報を取る力」と「情報を与える力」において卓越したコミュニケーションスキルを会得している点が最も大きな点であることに注目しました。
 この強みを活かし、従来にない新たな視点によるビジネススキル教育の場を提供し、企業で就職・転職を希望している意欲が高く、経済的自立していきたい視覚障がい者たちのキャリアパス拡大をレアケースではなく当たり前の社会として目指したいと思います。

審査員コメント

 これまであまり意識されてこなかった視覚障害者の「パラバーバル」な情報取得の能力に着目し、それを鍛えることで社会的に優位な人材を育成するという発想が素晴らしいです。視覚障害者の多くが潜在的に有する高いコミュニケーション力を効果的に引き出すメソッドが確立すれば、社会の視覚障害者に対する見方が変わっていくはずで、西村さんのアイデアはとても大きな社会的な意義を持っていると感じます。

プロフィール

 

西村由美
株式会社美キャリア 取締役

関西学院大学卒業後、CAの経験を経へ株式会社美キャリア設立。
現在、4才の視覚障がいの娘を持つ。
2016年関西学院大学院経営戦略研究科に入学し、2018年MBA取得。
在学中、全盲の常瑠里子と出会い、ビジネスでの有効な手段であることの認知を目的にブラインドコミュニケーション研修を実施している。

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