知的財産に関する社内教育と、視覚障害者支援の活動に従事。
『オムロン』の知的財産センタに勤め、知的財産の戦略、制度、教育などを担当しています。社内教育では、新入社員や営業社員に向けて、知的財産の概要から、特許、商標、著作権、不正競争防止法についての要点、秘密保持に関する留意点などを解説する講義を行っています。効果的に行うために、受講生にテキストを読み上げてもらいながらコメント・質疑するかたちで進行するなど工夫しています。視覚障害者である私が講師となることは、新入社員には強い印象で受け止められ、「聴く姿勢」を喚起するとともに、ダイバーシティに対する会社の考え方を体感してもらう機会となっています。
普段の業務に加え、「働く中途視覚障害者」としての体験をもとに、視覚障害者の就業支援活動を社内外で行っています。社内では、職場の合理的配慮の促進を目的に、視覚障害者の情報共有のための懇談会を企画・運営。一般社員の啓発のための「視覚障害者の手引きセミナー」も実施しています。また、視覚障害者の特性を生かした商品やサービスの企画も試行中です。社外では、京都府視覚障害者協会職業部協力員として、「目の見えない人・見えにくい人の仕事サロン」を企画・運営しています。
審査員コメント
デザインや回路図をどのように理解し、知財法に照らして評価するのかといった具体的な仕事の方法に関心が湧きました。視覚障害があっても効果的な研修を行えるノウハウを社内外に伝えてほしいと思います。専門知識の蓄積は就労継続の鍵です。視覚障害としての経験を生かしてご自身が努力されていることはもちろん、企業の姿勢もすばらしいと感じました。 |
プロフィール
吉川 典雄
会社員
1982年に立石電機(現・オムロン)に入社。技術統括センタ知的財産室室長、センシング機器統括事業部企画室室長を務めるなか、2008年に緑内障と高度近視のため視覚障害者1級に。以降、本社機能部門で知的財産の戦略、制度、教育を担当。社内外の障害者就業支援活動にも取り組む。