視覚障害者への情報機器操作講習
弱視の経験を活かした実践と研究
生活を便利で豊かにする手段として、パソコン・スマートホンや録音図書再生機などの情報機器を利用する視覚障害者が多くなってきました。しかし、新しい機器が発売される度に多機能化・高機能化し、自力で操作技術を会得することが困難になってきています。
そのような中、視覚障害当事者がサポーターとして、情報機器の操作を教えるといったケースが多く聞かれます。ただ、残念なことに、「詳しい人に教えてもらったが、操作の意味がわからず、トラブルが起きたとき自分で解決できない。」というケースや、サポーターの経験者から、「ボランティアでサポーターをしていたが、受講者から頻繁に質問されるようになり、負担になってきたので辞めてしまった。」という話を聞くことがあります。
上記のようなことが起こる原因は、サポーターが受講者の障害の状況や能力のことをあまり考えず、機器の操作手順だけを説明し、トラブル解決の方法を伝え切れていないからかと思われます。私は、効率よく機器の操作を憶えていただくための方法を研究し、「視覚障害者への情報機器サポートマニュアル」を作りたいと考えています。晴眼者・当事者を問わず、サポーターの技能向上がなされるよう、努力していきたいと思います。
審査員コメント
何より本人のキャパシティも考慮して、自己解決力を養うことを大切にした情報機器の指導、という視点は極めて重要であると思います。まとめられる予定の情報機器サポートマニュアルに期待しています。 |
プロフィール
岡本 昇
社会福祉法人職員
1969年生まれ、52歳。現在、社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センターに勤務し、視覚障害者への情報機器の販売や、操作のサポートと講習を担当。2002年から6年間、同法人の視覚障害リハビリテーションセンターで、職業訓練指導員として、視覚障害者のパソコン訓練を担当。