視覚障害者の職域開拓と病院の法定雇用率
ピアカウンセリングを取り込み、八方良し

 病院の眼科に、視覚障害当事者をピアカウンセリングのできる事務職、もしくは、従業員向けマッサージ等のヘルスキーパーとして雇用し、視覚障害の患者さんに寄り添い悩みを聞くピアカウンセリングが行えるとロービジョンケアがより充実するように思う。眼科にて「障害告知」を受けた時のショックや絶望感は大きい。正しい知識と訓練を受けた視覚障害者が患者さんに寄り添うことにより、ふさぎ込むことなく病気に向き合い、必要な情報と正しい知識を得るロービジョンケアに取組めるように思う。このように患者さんにとって障害告知を受けた時、もしくはその後に同じ様な境遇の視覚障害者に出会え、見えなくてもやって行けることを知るメリットは大きい。説得力が違うはずである。
 一方で、ピアカウンセリングを行う視覚障害者は多いが、職業としている人は極稀である。また、正しい知識を持たずに行うピアカウンセリングは時に患者さんにマイナスに影響しかねない。病院が視覚障害者を事務職やヘルスキーパーと兼務でピアカウンセリングの教育受けた(教育する)障害者を雇用することは、障害者法定雇用率向上や、障害者の地域での就労にも繋がる。従業員においても身近に視覚障害者がいることは、患者さんへの応対にも効果が期待できる。

審査員コメント

 ピアサポーターの存在は心の医療でも注目されています。このアイデアの注目すべきところは、視覚障害者のピアカウンセリング+何か別の仕事を提案しているところです。現実にはピアカウンセリングだけでは職業として成り立ちづらく、ピアカウンセリングのスキルに、事務職員としてのスキルやヘルスキーパーとしてのスキルを組み合わせることで、その方ならではの強みを身に着けることにつながるものと思います。

プロフィール

 

神田 信
株式会社三城/認定NPO法人タートル他

網膜色素変性症 障害者手帳2級の当事者。メガネの三城に勤務。視覚障害の就労を考える会タートルやJRPSの本部と神奈川で活動し、日視連では、弱視問題対策部会と移動に関する委員会に参画している。
このコンテストを通じて、少しでも視覚障害者のQOL向上に寄与できないかと考えている。

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