1. 合理的配慮について
- 企業や学校が当事者の希望に対して配慮しなくてはならない。しかし、何をしてほしいかは当事者が伝える必要があり、きちんと説明をできるようにしなくてならない。
- 学校での合理的配慮をうまく行うには情報につながっていることが重要。他校で行われている実例を提示しながら依頼するとうまくいく場合が多い。
例)東京大学「魔法のプロジェクト」
(新しいタブで開きます)
2. 弱視児向け支援
- タブレット端末はたくさんあるがiPadが視覚障害者には使いやすい設計になっている。
- なぜiPadがよいのか?
→中身を作っている人に視覚障害者がいる。拡大鏡機能が優れている。さわってわかるホームボタンがある。 - 子供がロービジョンエイドを使う上で大切なことは即時性。iPadは白黒反転などがすぐできるように設定が可能、拡大・縮小も指ですぐにできる。
- セキュリティ(パスワードは見にくい)
→指紋認証は便利だが指をケガした時のために5〜6本分、さらに家族の指紋も登録して非常時に備えておくとよい。Appleはセキュリティの解除はしてくれないので要注意。 - ホームボタンにいろいろ機能設定でき、触ってわかる。
- 教科書の閲覧はこれから変わる。教科書を見ることに特化されたアプリ「UDブラウザ」では拡大縮小を2本の指で行える。ポイントは即効性。
UDブラウザ
(新しいタブで開きます) - 教科書の図表を拡大縮小して見ることができ、繰り返すことで全体をとらえることが可能。さらに書き込みもOK。
- 見るときと書くときの機能は別。確実に分け、読む時には拡大しないのがポイント。
「見る」「読む」は別物と考える。図を見るには拡大が必要。
字を読む時には拡大すると一度で見える文字数が少なくなり、逆に見にくくなる。読む時には拡大しない事が原則。 - 認定教科書だとiPad対応している。読み書き障害や指がない子供などもiPadで読めばよい
- ホームページはSiriを使う。読み上げ機能(スピーチ)も使用可能。
- 紙はデジタルデータ化して、サイズ変更するとよい。
- 読んだほうが早い時と聞くほうが早い時がある。日によって、時間によって、気持ち的にも、違いがある。聞きやすい読み上げ速度にも違いがあるので、自分が使いやすい機能を選択すること。決めるのは本人。選択肢を多く持ってもらうことが必要(見る・聞く・読む)。
- 大事なことは内容を理解できること。見る、聞くを選択するのは個人の自由。
- 東大アクセシビリティ
→教科書をデータでもらえるシステムがある。
→診断書は不要。第三者が必要、学習が楽になると書いてくれればOK。認定教科書。 - iPad Pro用のスタンドはまだない。
- iPadの解像度がよくなっており、見たいものの焦点はiPadに合わせる。
- 眼鏡がiPadにあっていることが重要。
- 黒板の文字はiPadに黒板を写して目の前で拡大縮小、コントラストを変えて見ることができる。
- 板書を写真に取ることを認められている学校があるが、その前にデータを配ったほうがいい、それも合理的配慮のひとつ。
3. iPadの音声による支援
- ボイスオーバー機能:押すとしゃべるようになる。移動は1本指。指で触って見ていく。聞くことで大体の位置を確認できるので次から読む場所の見当がつく。次からはこのあたりだとわかる。
- ジェスチャー:2本指で。1本から4本指を使って操作できる。
- 話しかけるだけでお願いできる「Siri」が便利。
- 大事なのは見えなくてもできることを知ること。
- マネーリーダー(アプリ):お金の識別。世界各国のお金を読み上げてくれる。
- 困っていることは見えなくてもできる。「見る」ことをしなくても困っていることは解決できる。
- コンパス(アプリ):自分の向いている方向、方角がわかるアプリ。行きたい場所へ行く前に調べなくても現地でiPadをかざすだけで位置情報がわかる。
- 見えないから何もできないというわけじゃない。
- ライトディテクター(アプリ):背面カメラを通して明暗を感知し、音で明るさの度合いを教えてくれる。明るいと高音、暗い低音が音の高低で明るさを教えてくれる。防犯のために夜部屋に電気をつけたい場合、電気がついているかどうかがわかる。
- 応用の使い方としては、電源が入っている(電気がついている)かどうかがわかる。金環日食を見る。イメージが頭の中に浮かぶことが大切。見える世界が広がる。
- 明るく大きく(アプリ):自分にあった見やすさに拡大縮小できる。
- 見たことがないものは一生見えない、1回見るまでの行程を経験し、記憶を作っておくことが重要。
- 文字は明朝とゴシックではゴシック体が見やすい。白黒反転文字が見やすい場合も。しかし、個人差があり、(気持ち悪いなどの?)好き嫌いが入ってくる場合がある。読みやすいと見やすいは違う。「し」「く」の区別、最後がはねているか止まっているかで判断することもある。
- 人によって見やすさと読みやすさは違う。自分が見やすいフォント、大きさを知る。
- ロービジョン外来に行くタイミングに早すぎる又は早いことはなく、「今でしょ!」。
- 矯正学力:トータルでなにができるかが大切。病気か病気でないことよりも楽しく学校に行ける、宿題ができるほうが良い。
→バリアバリュー。 - 何が困っているかはその人の中にしかない。なぜできないのか(Why)は不要。どうやったらできるか(How)を考える。
- ユーザーとアプリ製作者の距離が短くなっている。必要なことを声に出して開発者に投げる。
- メールを送る場合の入力のコツは、内容をきちんと伝えるために、文章中の句読点、改行もしっかりしゃべるときちんとした文章が作成できる。
- 見えない人が見えるようになるようにすることではなく、見えなくてもできるようにすることが目的。
4. これからどうなる?
- これから世界が一気に変わる。拡張芸術、バーチャルリアリティ。ウェアラブル端末。
- 見えない・見えにくいということが変わって世界中につながることができる。
- ヘッドマウント(アプリ):必要な情報だけが見える。
- スカイウォーク(アプリ):星空が見える。体感するアプリ。ロービジョン者が実際は見えない星空が見える。
- 夜景:弱視の子供がよろこぶ。見えにくかったものでも一度「見える」体験をすると今まで見えにくかったものも見えるように(理解できるように)なる。
- 360度動画(アプリ):見ている方向の花火が見える。見上げる体感。例えば花火大会バージョンを選ぶと、自分の視方向の景色が見える。見上げると花火。周りを見ると夜景や観客など。
- 見えにくいから我慢する、我慢をしなくてはいけないということがなくなる。
- ミニピアノ(アプリ):鍵盤が大きい。楽譜が動き自動追いかけが可能になり、楽譜が見やすくなった。
- タッチペン:絵が描ける。鉛筆で書く感覚。キャンバスを拡大縮小できる。
- デバイスを学校に持っていけなくても家でできることからはじめよう。
- 高価なロービジョンのための装置もあるが、iPadをすすめているのは低価格で色々なことができるから。お金をかけずに気軽にできることからスタート。
- 高価な装置については一般化するまで時間がかかるので今できることをやる。
- 三宅レンズ:iPad2の背面をカメラの解像度をよくするものだったが、それ以降の機種には不要。遠くのものを見るためには望遠レンズを付けるとよい。