1. 検査について

  • 眼圧が病院によって違う。
    →空気圧で測定するものと、角膜にチップを接触させて測定する方法が、器械によって値が違う。同じ病院で測定した眼圧値で経過を見た方がよい。眼圧よりも視野を気にするように。また、視力検査では当てずっぽうでもいいのでがんばって答えてもらう方がいい。(5回中3回当たればOKというくらいの気楽な感じで)
  • 検査の結果は生活上の見え方は違う場合もある。同じ視力1.0の人でも、コントラストが低下(色が薄く見える)して生活視力が見づらい人もいる。
  • ずれて見える。
    →視力とは違って、筋肉の動きや脳の調節が悪いと両眼視ができないために、ずれて見えることがある。片目ずつで見ると、ずれがなくなる。

2. 読書について

  • 音声図書は障害者手帳を持っていないと使えない。障害者手帳も持っている人はサピエが利用可能。
    サピエ(新しいウィンドウで開きます)
  • iPadやAmazon Kindleでは音声読み上げがある。
  • 青空文庫では朗読図書が無料でダウンロード可能。

3. 治療研究について(高橋先生より)

  • 研究は年々進んでいる。網膜色素変性は治らない病気と言われ、世界中で研究されてきた。治療法開発にいちばん近く、世界で治療した例が網膜色素変性については10例以上あり、緑内障はその次。
  • 緑内障は脳と網膜をつなぐ必要があるので難しいと考えていたが、これも動物実験レベルでは成果が少しずつ出てきている。
  • 網膜色素変性の治療研究で一番すすんでいるのは人工網膜。すでにアメリカで認可され人への移植も行われている。形が見える、大きな文字が読めるといった報告があるが高額な治療である。
  • 人工網膜移植は日本では大阪大学で年1〜2例移植が行われていて、0.03が見える成果が出ている。いよいよ臨床の段階に来たという印象である。
  • iPS細胞を使った視細胞移植はここ2〜3年で進んだと言える。臨床応用まではあと5年くらいはかかると思うが動物実験では結果が出ている。しかし、誰にでも移植できるリーズナブルな治療にするにはさらに時間が必要である。
  • 遺伝子治療は誰でも当てはまる治療と言える。
    視細胞でなく、別の細胞に「藻類」由来の遺伝子を導入することで光を受け取れるようになる遺伝子治療法の開発も行われている。アメリカではすでにスタートしていて日本でもこれから。
  • 周囲の細胞を守っているファクターを遺伝子導入する研究も行われている。
  • 進行をゆっくりにする薬、保護の役割をする薬の開発も行われている。

4. 治療とロービジョンケアについて

  • 治療法がないと言われても治療しなくてはいけないという思いにとらわれている人がいる。そういう人こそ、道具、デバイス、方法などを使うことで生活を改善できるロービジョンケアが必要。
  • 治療だけでなく情報収集も大切。
  • HOTPOTの会では就労に関する情報収集、勉強会だけでなく飲み会もある。

5. 眼について

  • 眼は使ってもいいのか?
    →眼は脳と一緒なのでしっかり使ったほうがいい。
  • 見ることで疲れる。
    →疲れるのであれば無理はしないほうがいい。パソコン使用時など画面を見るだけでなく補助的に音声を使うと楽になる。疲れやすい人は両方使うのがおすすめ。
  • 「見る」から音を「聞く」移行のタイミングがポイントになる。
  • ブルーライトの影響は?
    →まだよくわからないがまず問題はない。眼を守ることが大切か人生を守ることが大切か考えてほしい。光が眼に悪いと言って外出しなくなる人がいるが、過度に気にしないように。人生を楽しんでほしい。

6. 生活の工夫について

  • 見えなくても慣れればできることが増えてくる。知恵と工夫で!
  • 人に聞く、助けてもらうためにはコミュニケーション力を高める。
  • 人とのつながりが大切!
  • 残された機能は使い切るくらいの気持ちで。音だけでなく、足裏の感覚を使うことで、道路の形状までわかる。
  • 日常生活訓練に行くと、普段困っていることが解消できる。仲間と一緒だとやる気が出る。
  • 訓練は目的を明確に持った方が継続しやすい。
  • 見えにくくなればなるほど「手」を使う。手を上手に使うことで便利・安全を確保できる。
  • 探し物をなくすコツは定位、分類、エリア限定。
  • 化粧は拡大鏡を使って行う。
  • 時刻表が見づらい。
    →視力1.0あるが視野狭窄がある。土日の時刻表が赤、青で表示してあり見づらい。iPadアプリ「明るく大きく」でコントラストを変えると見やすくなり感激した。
    →iPadで写真を撮って拡大して見ることができた。
  • 照明を変えるとコントラストを変えることができる。手もとスタンド、調光つきが便利。逆に明るすぎて見えにくくなる人もいるので自分で調整して白黒反転や黒ベースに黄色文字にするなど工夫するとよい。
  • 拡大読書器で文字を大きくして見る方法もある。
  • 爪切りにも拡大鏡、照明つきがある。

7. 安全な歩行と白杖について

  • 人や物にぶつからないコツは見えにくくなればなるほどゆっくり歩くこと。
  • 白杖は長さ、形状など種類がたくさんあるので、歩行訓練士など専門家に選らんでもらうように。
  • 障害物の前で知らせてくれるソナー式白杖もある。
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