視覚以外の豊かさを知るきっかけ作り
新たなアイマスク体験を届けたい!
多くの学校で福祉体験事業の一つとして実施されている「アイマスク体験」は、目隠しをした状態が視覚障害者であると伝えています。これでは「目が見えないことは怖いこと」「見えない人は歩けてすごい」という感想しか残りません。
普段視覚を使って生活している人が、それを突然閉ざされれば恐怖を感じるのは当然です。これでは視覚障害を知ってもらうどころか、怖さや特別な人だと言う感覚しか残りません。
私たちは、視覚を使う代わりに、触覚や嗅覚、聴覚を使って暮らしています。視覚を閉ざした状態で「目以外の間隔に注目すること」をワークショップ形式で届けていきたいと思っています。
「見えないから大変だ」「見えないからできない」ではなく「見えなくてもどうしたらできるか」「こんな風に工夫すればできるんじゃないか」と想像力を豊かにすることで、思いやりのある人が増えると考えています。
審査員コメント
アイマスクを、視覚を削るためのものから聴覚や触覚を拡張するためのものへ置き換える発想がユニークです。心の壁を高くしてしまう可能性のあるアイマスク体験ですが、一歩進んで、どのような工夫ができるかを問いかけることで、健常者と障害者の壁の超え方を考えるヒントを提供していることが実に素晴らしいです。 このことを伝えられれば全国の医療・福祉を学ぶ現場で新しいアイマスク体験が始まると思います。 |
プロフィール
西田 梓
団体職員
未熟児網膜症により、生まれつきの全盲。「見えなくてもこんなふうに工夫すればできる」をコンセプトに動画や講演、執筆活動を展開。著書「いまのあなたで大丈夫! 全盲ママが伝える繋がる子育ての魅力」を㈱まんがびとより出版。
現在、日本視覚障害者職能開発センター非常勤職員。視覚障害を持った人が「少し先の人生」を見通せるよう当事者としての支援にも力を入れている。