売れるお店には視覚以外のデザインも大切
~新店舗のプロデュース~

 コロナ禍で飲食店が閉店したり、空きテナントが増えた。同時に新しくお店を始める人も多い。しかし、開店したはいいものの、業績が伸びず、結局閉店しまた空きテナントになることも少なくない。
 私はお店に入ると色んなことが気になってしまう。この足音はどんな靴の音なのか、あの部分私だったらこう変えたいな、など。
 色んなことに気になって疲れてしまうことがある。しかし、このお店を1から作るならこうしたい、と考えることも好きだ。
 そこで、目が見えづらいからこそ、「見える美」以外の「感じる美」に特化した職業を作りたい。
 視覚からの情報が少ないからこそ、味覚、嗅覚、聴覚、触覚の情報に敏感なのではないだろうか。それを上手く利用し、より良い店にしたい。視覚以外の感覚にも店を作る上で大切な要素が詰め込まれている。目からの情報も確かに大事だが、それ以外の情報に凝っていくことで新しい店を作ることが出来るのではないだろうか。
 目の見える健常者とロービジョン者が一緒に一つのものについて話し合い、それぞれの観点からの考えを交わすことで、各々では思いつかなかったより良いアイディアや改善点が出てくることが期待できる。それにより、見えていること、見えていないことがそれぞれ美点になる。

審査員コメント

 視覚障害者の強みを生かした店舗プロデュース。こだわりのあるお店にはぴったりかもしれません。
 確かに、飲食店などでは、味のみならず、店内の音やいすの座り心地、においなどが、そのお店に対する顧客の印象を大きく左右するのではないでしょうか。
 視覚障害者が、健常者とチームになってお店をプロデュースすることができたら、そのお店は、五感すべてにうったえかける素敵な場所になるのではないかと思います。

プロフィール

 

中川 未稀
視能訓練士科の専門学校に通う19歳です。ロービジョンのゼミで、障害の方のことを学びました。私は初め見えなくなって可哀想と思いました。しかし当事者の方と触れ合い、学ぶうちに可哀想ではなく「見えない」ことを超えるその人の魅力が見えてきました。そして、この方々のために何かしたいと強く思うようになりました。

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