当事者が描くロービジョンが主人公の恋愛漫画
~エンタメにおけるロービジョン周知と啓蒙
長年、強度近視ながら健常者として漫画を描いてきましたが、数年前から視覚障害当事者となりました。
現在ロービジョン当事者として、エンタメで取り上げられる視覚障害者は殆どが全盲で、社会におけるロービジョンへの理解が足りているとは思えないと気づきました。ただロービジョンは、見え方やその存在そのものが分かりづらく当事者でなければ説明も難しいと思います。一昨年、たまたま頂いた企画が「特徴のある女性漫画で私にしか描けないもの」という事だったので、当事者目線のストーリー漫画を提案しそれが形になったものが「見えない私の恋は不自由。」です。案の定読者の多くからは「(拙作を読んで)ロービジョンを(言葉も含めて)初めて知った」という感想があり、多少なりとも周知に繋がったかなと思います。
また、SNS上で「ロービジョン当事者が作者の、ロービジョンが主人公の恋愛漫画」として取り上げられ、幾つかウェブニュースで記事になりました。
(ニュースURL→
https://otakei.otakuma.net/archives/2020092903.html
https://www.j-cast.com/2020/09/26395014.html?p=all)
今後も、更に別のロービジョンを扱った漫画を執筆できるよう計画しています。
進行性のためこの先いつまで執筆が続けられるかは分かりませんが、可能な限り頑張りたいと思っています。
審査員コメント
ロービジョンを取り上げた漫画を連載し、単行本になるというのは素晴らしいです。漫画という手法で表現されたメッセージは、世代や立場を越えて広く伝わっていくものと期待しています。 これまでロービジョンに関心がなかった人にも、漫画というメディアであればすんなりと受け入れることができるため、社会を買える大きな力を持っていると感じます。障害も込みで魅力的なキャラをどんどん生み出していただきたいです。 |
プロフィール
ばにー浦沢
漫画家
大阪府出身。大学卒業後、総合商社勤務を経て漫画家デビュー。遺伝性の強度近視による合併症(網脈絡膜萎縮・視神経萎縮)で数年前に視覚障害認定を受け現在は視野障害2級。右目のみの極小の視野でPCと液晶タブレットを使用してデジタル漫画を執筆中。