徹底したワークシェアリングで、自分にできることを率先して担当。
視覚障害者第一号として『USEN』に入社しました。会社側の配慮で、パソコン画面の読み上げソフトや拡大表示ソフト、拡大読書器などは揃えてもらえましたが、社内の基幹システムへの対応は完全ではなく、与えられた環境で「できることをする」という状況にあります。「できること」とは、パソコンでのデータベースの閲覧やチェック作業、過去の経験を生かしたエンドユーザーとの電話での交渉などです。徹底したICTの導入によって、グループによるワークシェアリングが構築されているので、例えば、紙のデータ入力・管理などの苦手な仕事は先輩や同僚にお願いし、私に可能な作業や得意な作業を集中させるという働き方ができています。所属するグループは女性が中心。女性が対処しにくい作業や交渉は率先して担当するよう心がけ、シェアバランスを保てるように努めています。そうして築いた同僚や仲間との信頼関係は、どんな補償機器よりも力強いと確信しています。
視覚障害者の作業に制限があるのと同様に、子育て中の女性をはじめ、それぞれに制限を持って働いているのが現実です。政府が取り組む「働き方改革」の延長線上に、障害者雇用の問題解決策があるようにも思います。
審査員コメント
できないことに目を向けるのではなく、できることを同僚や仲間の分まで担うことで、ワークシェアリングをうまく機能させている彼の姿勢は、多くの視覚障害者にも学ぶ点が多く、就労問題に対する現実的な回答でもあると思います。この考えや働き方を、今後も引き継いでいかれることを願っています。 |
プロフィール
大橋 正彦
株式会社USEN/認定NPO法人タートル会員
学生時代からアルバイトをしていた広告制作会社に就職。40歳の頃、眼科で緑内障の診断を受けるが、自覚症状もなかったため通院治療をしなかった結果、45歳を過ぎた頃に発症。障害者手帳を取得し、支援施設で職業訓練を受け、2012年に視覚障害者第一号としてUSENに入社。プライベートでは、認定NPO法人「タートル」に参加。自身の経験を活かし、精力的に活動している。