【就労事例部門】MIP賞④横山 敏昭

目の状態の変化に応じて、
仕事に必要な機器を会社に要請。

 民間企業の制御技術部門で働いていた31歳のとき、網膜色素変性と診断されました。当初は仕事に支障はありませんでしたが、次第に典型的な症状である夜盲や視野狭窄、視力低下が進み、高所での機器・配管がある場所での移動や海外出張などが困難になってきたので、上司に相談。現地建設や海外出張のない担当に変えてもらいました。
 数年間は制御技術部で仕事ができましたが、40歳のときに部署転換の希望を出し、内勤である積算部へ。それでも、図面やパソコンの文字がルーペを使っても見えにくくなってきたので、障害者雇用助成金制度の利用を会社に依頼し、拡大読書器とズームテキストのソフトを購入してもらいました。さらに見えなくなってくると、今度は音声パソコンソフトの購入も依頼しました。
 49歳のとき、盲導犬を貸与してもらいました。盲導犬との同伴通勤はすぐには承認してもらえませんでしたが、盲導犬を受け入れている企業の事例を会社に提示。承認してもらうことができました。現在も一緒に1時間半かけ、バスや電車を乗り継ぎながら安全に通勤しています。
 視覚障害者が企業で仕事をするとき、自分自身が情報を集め、要請していく必要性を実感しています。これからも目の状態の変化に応じて、対処方法を考え、会社に協力を依頼しながら仕事を続けていきたいと思います。

審査員コメント

勤務中に眼疾患が発症し、徐々に進行するなかで、30年以上も同じ会社での継続勤務を可能にしたのは、自身の障害と向き合えたこと、症状に応じた部署転換を上司に相談し、理解を得られたこと、関係機関からの支援を受けられるための努力を惜しまなかったことなど多くの要素があります。視覚障害者が働き続ける上でのお手本です。

プロフィール

 

横山 敏昭
会社員

1982年に就職した民間企業に勤務中。検査部門、制御技術部門を経て、現在は積算部門に在籍。主に化学プラントの電気計装設備の見積りのためのコスト算出を担当。拡大読書器や音声パソコンを併用しながら業務にあたる。1時間半の道のりの安全確保のため、盲導犬と通勤している。

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