【就労事例部門】入選②鈴木 佐知子

盲女美術家SACHIKOのスーパーかわいい絵画展企画事業
~アール・ブリュットの作品100点を、広く市民に提供~

 知的・精神・視覚などの障害をもつアーティストを「アール・ブリュット」と呼びます。
 当研究室の仕事は、1.コンサルティング及び企画・展示、開発業務。2.マーケティングリサーチ業務が主な内容です。その中から特に昨年好評だったユニバーサルアート展示企画プロジェクト「盲女美術家SACHIKOのスーパーかわいい絵画展2018」について、説明します。これまでのキャリアを発揮し、「福祉と経済」を紡ぐ「アート」を健常者との協働で障害者就労及び芸術活動普及をコンセプトに、最終的には、家庭や職場にアートを届けることを目的にした作品展示企画事業です。「パシフィコ横浜国際展示場」「赤レンガ倉庫展示場」等の集客数が多い場所に期間限定の店舗を開設して展示販売をしました。

   

  写真1 パシフィコ横浜     写真2 あおばのギャラリー   写真3 赤レンガ倉庫

 

 絵画展の会場は、地元の人が集まりやすい場所を選びました。これは、画廊やギャラリーにこだわらず、地域の人々が気軽に足を運べるようにショッピングモールなどでも、展覧会を開く試みをするためです。また、展示作品は、「スーパーかわいい絵画」というタイトル通り、モチーフに動物やお花等、また一般的な日本家屋のスケールに配慮した極小サイズのものを用意するなど、質にはこだわりつつも提供の仕方を工夫しています。さらに、オリジナル作品にもかかわらず、安価な価格中心に設定し、リピーター、コレクターになってもらえる要素を含んでいます。

審査員コメント

 美術の専門家であり視覚障害当事者である鈴木さんが、障害者理解などの福祉の文脈ではなくアートビジネスの文脈で、日本のアール・ブリュットをけん引している姿にとても感銘を受けました。
 障害をもった芸術家の作品が市場に供給され、経済的価値が発生するというのは、従来にない仕事であると思います。こうした方の作品を扱う事業者が増えることが必要で、事業として成り立っていくよう期待しています。

プロフィール

 

鈴木 佐知子
デザイナー・教師・造形作家

出身:1999東京学芸大学藝術教育学科博士課程。画歴:神奈川県展協会賞、和歌山洋画100大賞、アメリカ大賞(ブロンクス美術館)、2011セーラムG(NY)、2014Gサテリット(Paris)。
所属会員:日本デザイン学会、大学美術教育学会、日本美術教育連合INSEA(国際美術教育連合)、モダンアート協会。

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