【就労事例部門】入選 相沢 浩貴

徐々に希望は挑戦

 視覚障害者であることを受け入れられなかった私は、徐々に視力を失っていく中ですべてをあきらめる人間になっていった。
 そんな私に、iPhoneのVoiceOverが希望を与えてくれたが、どうしても文字入力がうまくできなかった。
 その原因はたった一箇所の設定だった。
 こんなことで使えなくなるなんて、ほかにも同じように困っている人がいるはずだ。
この思いがコミュニティを立ち上げるきっかけになった。
 情報共有を続けていく中で見えてきたのは、デバイスを使いこなすためのスキルよりも、コンテンツの設計に問題が山積していることだった。
 また、先進国の中でも特に日本はアクセシビリティへの対応が遅れているという事実を知り、企業へのアプローチを実現するには法人化が必須という考えに至った。
 さらに、デジタルコンテンツを楽しめないがゆえに、社会との共通の話題に偏りが生じていることにも注目した。
 これらの課題を解決するために、VoiceOver検定試験の実施、文化芸術作品をより楽しむためのコミュニティメンバーとのディスカッション、そのアイデアを盛り込んだコンテンツ制作、さらには企業へフィードバックしていく組織づくりを実行している。
 No Accessibility No smart

審査員コメント

 徐々に視覚を失う中であっても、「ほかにも同じように困っている人がいるはずだ」というマインドを持って、新たな希望を自ら見つけたところはすごいです。

プロフィール

相沢 浩貴
NPO法人スマートアクセシビリティ 代表理事。
レーシングカートで時速70kmで走ることを夢に見ている。
網膜色素変性症。
2022年、NPO法人smartアクセシビリティ立ち上げ。

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