無償での遠隔就労PCサポートの実施
公的支援が受けられない視覚障害者を支援
SPANは、在職者訓練やジョブコーチ支援、また各種講座のほか、全国各地で就労支援活動を行ってきたが、それらを通して、職業スキルの向上を望む視覚障害者が多くいること、一方で、職業訓練などの公的支援が受けられない人が少なくないことを改めて認識した。
そこで、こうした方を対象に、Zoomなどの通話アプリを利用して地域を問わず受講できる遠隔サポートを2021年に実施した。
具体的には、実施のための寄付を2020年に募集し、目標額30万円を達成したので、北海道から中国地方在住の9名+1グループ(2名)に対して、それぞれ10時間の遠隔サポートを実施した。
しかし、こうしたサポートへのニーズが高いため、2022年にも同様のサポート実施を計画し、2021年に寄付を募集したところ、2020年を上回る39万円の寄付をいただいたため、13名の方へのサポートを実施する予定である。
この活動の狙いは、視覚障害者の職業スキルの向上や、公的支援の必要性を社会に発信することのほか、互いが持っている力を出し合う「共助の精神」を広めることにある。それは、支援する側/される側の区別なく、それぞれができる形で活動を支えるという考え方である。
審査員コメント
公的支援が行き届いていない視覚障がい者の就労支援・スキルアップを目的に、デジタルツールを用いた遠隔での各種講座や就労支援を提供しようとするアイデアは、具体的で実現性が高く、日本全国への波及効果が見込める良い提案と思います。共助のアイディアを入れて、事業を実現しておられ、規模は大きくなくても、積み重ねでできる範囲から始めていることが素晴らしいです。 |
プロフィール
特定非営利活動法人 視覚障害者パソコン アシストネットワーク(SPAN)
1999年の創立以来、視覚障害者および支援者を対象としたパソコン講習を実施しているほか、在職者訓練やジョブコーチによる支援など、視覚障害者への就労支援活動を行っている。また、最新技術の普及活動やWebサイトやメールマガジンなどによる情報発信も行っている。