
1. 子どもへの告知について
- ・病気についていつ、どのように伝えるべきか悩んでいる。「おばあちゃんと同じ病気」と伝えている。
- ・「おばあちゃんと同じ病気」という伝え方は、子供が状況を理解しやすくなる一つの方法だと思う。祖母など身近な人に同じ病気の人がいる場合、子どもは過度に怖がることなく状況を受け入れやすい傾向がある。
- ・子どもに病名を伝える際は、子ども自身がインターネット等で調べて不正確な情報で不安にならないよう注意が必要。その前に親が正しい情報を提供することが重要であり、心配な場合は医師と一緒に伝える方法もある。
- ・ネット上の情報には正しいものと間違ったものがあるため、正しい情報源から得た知識を伝えることが大切。
- ・遺伝性疾患と言っても、必ずしも遺伝するわけではない。「孤発」のように、家族や親せきに同じ病気の人がいなくても発症するケースもある。
- ・視覚に障害のあるおじいちゃんが楽しそうに仕事をしているから、おじいちゃんと一緒の仕事がしたい」と言う子どもがいた。障害を特別視せず「当たり前のこと」として捉えているケースも見られる。
- ・大切なのは病名を伝えることではなく、現在何に困っているかに焦点を当て、それを子供と一緒に解決していくこと。
2. 暮らしの中の工夫
- ・クロックポジションの活用。クロックポジション(時計方位)は、物の位置を「3時の方向にある」というように時計の文字盤に見立てて説明する方法。視覚に障害がある人だけでなく、誰に対しても短く分かりやすく情報を伝えるのに有効。子どもが家の中だけでなく、外でもこの方法を使えるように、社会全体にこの方法が広まることが望ましい。
- ・自身の視機能の把握と他者への伝え方について。自分の正確な視力や視野の範囲を把握していないことが多い。自分の見え方(何が見えにくいかなど)を他者(学校の先生、友人など)に正確に伝えられるようになることが、今後非常に重要になる。特に、成長して親が介入できない場面が増えるにつれて、自分で説明できる能力は不可欠。
- ・見え方が日によって異なるという人もいる。「金色に見える日は眩しくて外出しづらい」など、自分の見え方、体調の波や変化を把握し、行動をコントロールしている人がいる。
3. 精神的サポートと成長促進
- ・子どもの好きなことを自由にやらせ、のびのびと成長できる環境を作ることが重要。趣味や好きなことに打ち込むことで、病気の進行が遅れるように感じられるという体験談が語られた。
- ・子どもが物にぶつかったり、他の子と違う行動をしたりした際に「不器用な子ども」とレッテルをはるのではなく、親が心の支えとなることが大切。1日に1〜2回抱きしめるなど、精神的なサポートをすることが子どもの安心につながる。
- ・一般的にゲームはダメと言うことが多いが、ゲームへの興味がゲーム音楽の制作など仕事に繋がる可能性もあるため、一概に否定すべきではない。ただし、ゲームのし過ぎで目が疲れるのは良くないので時間を決めてやるのがよい。ルールを決めるのは生活のリズムを作ることになる。
- ・子ども自身が「こうやったら見える」という方法や道具を発見をすることで、教科書や本を読むなど学習意欲に繋がることがあるため、様々な方法を試すこともよい。
子どもが何に興味を持つかを引き出すことが重要であり、大人の知識の範囲で「やってはいけない」と決めつけるべきではない。
4. 乳幼児の遊び
- 音の出るおもちゃで遊ばせたり、感触を楽しませたりすることが良い。
乳幼児は見える子と見えない子の遊びや感覚に大きな差はないかもしれない。
5. 子どもの自立・自律のための体験学習
- ・子どもが将来生きていく力を育むために、様々な体験をさせることが非常に重要。危ないからという理由で体験をさせないのではなく、安全な方法を教えることが経験につながる。
やかんでお湯を沸かし、カップ麺を作る方法は水の量を先に計り、やかんでお湯を沸かす。注ぎ口を確認しながら、お湯を注げばカップの内側の水量線が見えなくても大丈夫。カップ麺作りという経験を通して安全な方法を教えることで、子どもは自立への一歩を踏み出せる。 - ・食材に触れる経験も重要。調理前の肉が冷たいことを知らなかった子どもがいる。五感を通した実体験は有用であり、キャンプなどの活動を通じて、多くのことを経験させることは子どもの成長を促す。
6. 食事とサプリメント
- ・○○によいとされる特定の食べ物よりも、肉、魚、野菜など、様々な食品をバランス良く摂取するほうがよい。
- ・サプリメントでなく、野菜ジュースを飲む。
- ・個人的な経験として、砂糖の摂取を控えることや、血管や細胞の健康を意識した食生活が提案された。
- ・ビールやコーヒー、砂糖などが体調に与える影響は人それぞれであるため、自分にとって何が良くて何が悪いかを知っておくことが健康管理につながる。
- ・特定の食べ物や飲み物を完全に断つことがストレスになる場合は、無理にやめるのでなく、量を減らしたり、別のものに置き換えることもできる。
7. 通院と予防
- ・網膜色素変性は薬などによる完治療法がなく、年に1回の定期診察のみ。何かできることはないか?
- ・進行を遅らせる対策として、光から目を守る「遮光眼鏡(オーバーグラス)」が処方された。
医師からは、室内外を問わず光をあまり感じないように遮光眼鏡をかけることで、進行が遅れる可能性があると助言された。 - ・子どもが遮光眼鏡の着用を嫌がる。学校で他の子と違うものを着けることへの恥ずかしさや、眼鏡を2つ重ねることの煩わしさ、重さが原因と考えられる。授業中に手元を見るときは裸眼、黒板を見るときは眼鏡と、かけ外しの手間も着用を嫌がる一因と思われる。
- ・オーバーグラスでなく「跳ね上げ式」(クリップ式でレンズ部分だけを上げ下げできるタイプで、かけ外しの手間が省ける。ただし、眼鏡が重くなる可能性がある。
- ・まぶしさへの対策として日傘の使用もある。ただし、子どもだと持ちにくいかもしれない。
- ・遮光眼鏡は、眩しさの原因となる特定の光をカットするもので、単なるサングラスとは異なる。室内用と室外用の2種類持っている。
- ・子どもが楽に感じ、本人がかけたくなる好きな色を選ぶことが、継続的な使用につながる。いちばん楽な色ではなく、少しまぶしさが残ってもかけられる色にして遮光眼鏡に慣れるのもよい。
8. 学校生活でのサポートと学習
- ・難聴があるので幼稚園とろう学校の幼稚部を併用している。ろう学校では、1クラス3〜5人の少人数教育が行われている。地域の幼稚園(1クラス28人程度)では、眩しさを感じやすいため、席を光が入りにくい場所にするようにしてもらっている。
- ・幼稚園では先生が付き、段差のある場所や園外保育での移動をサポートしてもらっている。
- ・小学校入学に向けても学校と相談中。
- ・難聴クラスには担任の先生がいるが、常に付き添えるわけではないため、移動教室などの際に5〜6人いる支援員がフォローする体制がある。
- ・校内の暗い場所や段差でのつまずきが心配。
- ・ある小学校では、薄暗いところが見えにくい生徒のために、廊下の電気を常につけてくれたり、床に物を置かないようにしたりする配慮が行われた。
- ・弱視学級が設置されると先生が一人つき、授業中に黒板の文字を写真に撮って拡大して見せるなどのサポートをしてくれる。
- ・子ども自身が思春期などの理由で「見えない」と言い出せない場合があり、サポートの難しさがある。
- ・中学校の修学旅行など、夜間の活動については、懐中電灯を持たせるなどの準備や、友人や先生の助けを借りることも必要になるので、「お願いする」ことに慣れておくとよい。お願いすることは特別なことではない。
9. 点字と墨字の選択
- ・視力が低下しているが点字を習った方がよいか考えている。
- ・墨字(通常の文字)と点字のどちらを使用するかは病気の進行度合いに応じて、盲学校の先生と相談し、将来の受験なども見据えて選択することが重要。
- ・墨字を使いつつ、点字を「第二外国語」のように楽しみながら学習しておくという考え方もある。
- ・受験では音声で受けられるものもあるが、病気の進行や難聴も考慮して、早めに専門家と相談するとよい。病気がわかっているので早くから準備を始められることが利点となる。
10. 医療機関との連携と最先端医療
- ・神戸アイセンター病院の受診は、朝の11時までに受付をすれば、診察を受けることが可能。
現在の主治医に紹介状を書いてもらい、その上で予約を取るのがよい。待ち時間が少なく、現在の検査データを確実に引き継げる。セカンドオピニオンも可能。 - ・視野検査は子どもにとって負担が大きく、本人がやりたがらない。また、より多くの情報を得るために大学病院への転院を希望しても、同じ検査しかしないという理由で紹介してもらえなかった。
- ・診察の頻度については、病状に応じて半年に1回や年に1回などとなる場合もある。
- ・診察時には、これまでの進行状況がわかる記録(例:親がつけたメモ、視野検査の結果など)も医師の参考になる。データが多ければ多いほど、今後の見通しが立てやすくなるため、日頃から記録を付けておき、子どもの見え方を知ることが大切。
- ・子どもの遺伝子検査を受けるべきか悩んでいる。特にRPE65という遺伝子変異に対しては治療法があるという情報を得た。
- ・遺伝子検査にはメリットとデメリットが存在する。治療法が確立されている遺伝子変異であれば回復が期待できる。また、将来新たな治療法が出た際に、すぐに対応できる可能性もある。デメリットとしては、治療法がない遺伝子変異が判明した場合のがっかり感や、遺伝性疾患であることが確定することによる精神的負担などが考えられる。遺伝子検査を受けるかどうかは、個々の判断に委ねられているが、検査前に遺伝カウンセラーから十分な説明を受け、メリット・デメリットを理解した上で決定してほしい。子どもが成人してから本人の意思で決めるという選択肢もある。
- ・リスクが高いという理由で積極的な治療が行われていない。複数の医療機関で診断や見通しが異なり、親として将来への不安を感じている。
- ・医師が積極的に情報を伝えない場合、それは変化がなく順調である可能性を示唆している可能性もある。
- ・セカンドオピニオンで最初の診断方針が支持されたため、現状の方針で進めるのが良いだろうという意見で一致した。
11. 職業選択と未来の可能性
- ・視野障害があっても、中心視野が保たれている人がカメラマンになっている事例がある。ファインダーを覗く視野と一致しており、全く問題ない。
- ・職業選択においては、「何をしたいか」を見つけることが最も重要であり、すきなことやりたいことが見つかればその方法を考えることができる。
- ・最近ではYouTuberやVTuberなど、多様な働き方が存在し、声や音だけを活かした仕事も可能であるため、可能性は広がっている。
- ・プログラム開発など、視覚障害があっても活躍できる職種は数多く存在する。
- ・先天性の全盲であっても、多様な分野で活躍している人がいる。宇宙物理学者は人の眼では見えない星を観察し、見えないものを研究している。
- ・視覚障害者には不可能とされていた自動車の運転も、自動運転技術の進展により、将来的に可能になるかもしれない。この変化は、「できない」と言われていた仕事の定義が変わりつつあることを示唆している。
- ・現代はICTやAIの活用により、やりたいことを実現しやすい時代になっていると言える。
- ・過去には紙媒体でしか読めなかった研究論文も、現在ではPDFやテキストで容易にアクセスできるようになっている。
