【アイデア部門】価値転換賞/日本眼科医会賞 南部 勇樹

高度なスキルを持つスペシャリスト障害者雇用の創出とマッチング

 障害者の中には難関国家資格やスキルを持つ社会的にスペシャリストと呼ばれる人財(人材)が多い。
 現在、社会ではバリアフリー、アクセシビリティ、インクルーシブ、SDGsなど『多様性』や『合理的配慮の提供』が求められているが、そのモノやサービスは健常者が考えた理想であり障害当事者が描く理想とのチグハグさは否めない。
 私も以前は、日本の技術資格の最高峰である技術士(建設部門)などの技術系国家資格を所持して社会資本整備を担う技術者として働いていたが、病気の進行により視覚障害者となり「できないこと」が増え諦めざるを得ない状況となり、地元の障害者雇用の事務職へ転職したが、技術者としての夢は諦めきれず活躍の場を模索しているが市場がない。
 専門としていた社会資本整備(道路、河川、港湾、空港、鉄道など)では健常者が設計したものが殆どで視覚障害者として利用しづらいものが非常に多い。
 このような現状の解決策として、設計、現地確認、検証の過程で高度なスキルを持った障害者が携わったことを証明する公的認証制度や発注・入札制度における評価の導入など、様々な分野において高度なスキルを持つスペシャリスト障害者雇用の市場創出とマッチングにより、障害の有無に関わらず全ての人にとって便利で将来の夢を見られる社会にしたい!

審査員コメント

 視覚障害を負うことによって、それまでに習得した専門性高いスキルが生かされなくなることは、人生においても、社会においても大きな損失です。今、日本社会は少子化と労働者の高齢化により、労働力人口が減る局面となっており、特に社会のインフラ整備やメンテナンスに関わる人材不足は深刻であると見聞します。チャンスです。ぜひ、実現に向けて頑張ってほしいと思います。

プロフィール

南部 勇樹
福井県在住の52歳 網膜色素変性症による視野狭窄で白杖使用。
元国土交通省職員(技官)でダム・河川用水門、河川用排水機場、道路融雪設備の設計や防災業務などに26年間従事するも中途視覚障害により退職。技術士(建設部門)、一級土木施工管理技士、一級電気工事施工管理技士、高等学校教諭(1種・工業)などの資格を所持。

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