当事者性と専門性を生かした業務で、「視覚障害は情報障害」と言わせない!
インターネットは、視覚障害者の自立や社会参加に欠かせません。ところが、ウェブサイトへアクセスすると、写真や動画の内容がわからない、クリックするとどこへ行くのかわからないなど多くのバリアが存在します。そこで、視覚障害者にも健常者にも使いやすいサイトをつくるために、ITコンサルティング会社でウェブアクセシビリティのコンサルタントとして業務を開始しました。ところが、30歳頃から目の具合が悪くなり、角膜移植を4回受けましたが、拒絶反応のために視力は移植前の0.01に。会社も休みがちになり、退職しました。それでも思い直し、個人事業としてアクセシビリティの仕事を開始。大手金融機関、電機メーカー、障害者団体などのウェブサイトの改善や、最近は神戸市のアクセシビリティ研修講師も担当しています。
AIやIoTなど、今、IT環境はめまぐるしく進歩しています。ただ、障害当事者が知見を持ったうえで発言し、アクセシビリティを確保しなければ、せっかくの夢の技術が台無しになります。視覚障害者の自立や社会参加を進めるために不可欠な情報の取得と発信。それを支えるアクセシビリティの確保と向上を目指し、今後も仕事を続けていきます。
審査員コメント
障害当事者としての経験とウェブの専門知識を組み合わせて起業するという姿勢は、起業家を目指す視覚障害者に大きなヒントを提供しています。また、視覚障害者が画面読み上げソフトでウェブアクセシビリティ評価を行うことはありますが、それを個人で行い、日本工業規格の規格づくりに弱視者として参画するのも例を見ない活動。さらなる活躍を応援します。 |
プロフィール
伊敷 政英
Cocktailz アクセシビリティコンサルタント
ITコンサルティング会社に入社後、30歳頃から目の状態が悪化。2010年8月よりCocktailzとして個人での業務を開始し、民間企業や自治体のウェブサイトにおけるアクセシビリティ改善業務を行い、ウェブアクセシビリティセミナーや職員研修での講師も務める。2014年には日本工業規格「高齢者・障害者等配慮設計指針」の原案作成に携わる。