少しの工夫とアイデアで、お料理、お菓子作りの楽しさをしってもらいたい。
現在レシピ開発の仕事をしています。働く以前は個人でお菓子教室を開いていたのですが目の病気が徐々に進行し、一人では続けていくのは無理だと思いあきらめました。もう一度お菓子作りの楽しさを人に知ってもらいたいと思い、自分にできる働き方で活動をすることにしました。
レシピ開発の仕事は「目が悪い」ということを事前に伝えて、サポートしてもらいながら働いています。資料は事前にデータでもらうので拡大コピーやルーペを使って参加しています。主に自宅で料理の検証を行い出来上がったレシピは自宅のパソコンから会社に送ります。
計量は計りの文字が見えにくいので、計量カップや大さじ、小さじなどを用いて計量しています。包丁を使うときは慎重に、焼き具合などは自分の鼻と耳そして舌で確認します。焼けていく時の音、臭いで確認し最終的に味見をして完成させます。
視覚障害者に作りやすいレシピは晴眼者にとっても役に立つレシピだと思います。視覚以外の感覚を上手く使うことでお料理やお菓子作りができるということをたくさんの人に知ってもらいたいです。障害のある方も無い方もすべての人が笑顔でキッチンにたてる、そんなお手伝いができたらいいなと思っています。
審査員コメント
料理はレシピや道具の使い方を工夫すれば見えていた時とほぼ同じように作ることができるという岡本さん。そのことに素朴な驚きを覚えました。そうすると、見た目にとらわれずに味や香りに集中できる分、料理というのは視覚障害者に向いている仕事なのかもしれません。これからも、健常者にはたどり着けない奥深い味や香りの世界を私たちに教えていただきたいと思います。 |
プロフィール
岡本 さやか
製菓アドバイザー、食育指導士、野菜ソムリエなど
大学卒業後、兵庫六甲農業協同組合で勤務。
食に関する資格を取得し、現在はレシピ開発の担当。
弱視の当事者として視覚に頼らず作れるレシピの提供や視覚障害者向けの料理教室の講師のボランティアも行っています。