【就労事例部門】MSP賞 田中 康文

漢方内科の医師

 私は、今年で75歳になる男性医師です。医学部4年の22歳に網膜色素変性症に罹患し、徐々に視力低下と視野狭窄が進み、50歳前後で全盲になり、55歳で約25年間勤めた大学病院の神経内科を退職しました。
 その後、医師として生きるために漢方医学を勉強し、現在は栃木県内でふれあい漢方内科というクリニックを開業しています。最近はオンライン診療も行っており、ホームページを見て診察を希望する患者さんも増えています。特に、皮膚疾患は目に障害のある医師には難しいと一般的には思われていますが、私は、予約時のメールに皮膚の状態の記載と共に、患部の写真も添付してもらい、看護師の説明を聴いています。診察当日は、パソコンのディスプレイに患部を直接見せてもらい、看護師から状態を聴いて診察しています。
 東洋医学は個々の臓器を対象にするのではなく、身体全体の気や血の流れを問診などで推測して治療にあずかる分野です。現在の医学は西洋医学が主流ですが、漢方などの東洋医学も患者さんをよくする上では必要ではないかと思っています。視覚に障害がある医師でも十分に対応できる分野であり、今後、もっともっと発展していってほしい分野だと思っています。

審査員コメント

 徐々に進行する視力低下等に向き合いながらも、医師としてできることを諦めなかった姿勢に感銘を受けました。同じく東洋医学である鍼灸は視覚障害の方の仕事になっていることを鑑みても、東洋医学を求める方にとってより安心感があるように思います。

プロフィール

田中 康文
私は、今年で75歳になる男性医師です。医学部4年の22歳に網膜色素変性症に罹患し、徐々に視力低下と視野狭窄が進み、50歳前後で全盲になり、55歳で約25年間勤めた大学病院の神経内科を退職しました。
その後、医師として生きるために漢方医学を勉強し、現在は栃木県内でふれあい漢方内科というクリニックを開業しています。

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