視覚障害であることを強みに変え、
充実したロービジョンケアを実践。
眼科専門病院で、ロービジョンケアの一環として、外来患者に向けたITサポート業務に従事。パソコンやスマートフォンなどのIT機器を用いた視覚補助の機能やアプリ、その使い方を紹介しています。また、ロービジョン者は、周囲に理解されにくく、不安や不便さなどの問題を抱え込み、孤立しがちになります。そんな不安や不便さを傾聴し、生活に役立つ関係機関や施設、ネットワークの情報提供をすることで、孤立の解消に努めています。
サポート後の患者様からは、気持ちの共有をしてもらえた、精神的な負担が軽減したとの感想をいただいています。見えにくさを、身をもって体験をしているからこそ、生活に密着したIT機器の視覚補助機能の使い方を紹介でき、あきらめていたことが、また形を変えてできるという希望に繋がっていると考えます。
視覚障害者が、患者としてではなく同僚として働くことで、職員からも「視覚障害者の困難さを改めて考える機会になった。」という感想が聞かれています。一方、事務の仕事では、私ができる業務(Excel管理簿入力)を担当させてもらうなど職場の協力も得られています。また、病院と私の橋渡しをするコーディネーターを配置してもらったことで、困りごとを相談しやすくもなりました。視覚障害がある「私だからこそ」の働き方を続けています。
審査員コメント
視覚障害の当事者だからこそできるロービジョンケア。今後、全国の眼科や病院、クリニックに広がれば、患者さんのためにも、視覚障害者の雇用拡大にも寄与するものと思われます。ロービジョン外来が保険点数化されるなか、石原さんのような業務はますます需要を高めるでしょう。病院職員の協力も得られた理想的なサービス形態だと思います。 |
プロフィール
石原 純子
眼科専門病院職員
2001年まで看護師として勤務していたが、家庭の事情で自己退職。05年に網膜色素変性と診断される。12年に身体障害者手帳を取得。14年に現在の眼科専門病院に就職し、ロービジョンケアの一環としてIT機器を用いたカウンセリング業務に従事。