【就労事例部門】MEP賞④井上 直也

iPhoneやiPadを使った、プライベートレッスンを実施。

 この仕事を思いついたきっかけはパートナーの何気ないひと言で、カフェで行われていた英会話レッスンがモデルになりました。パートナーからアドバイスを受けるまでは、iPhoneのブラインド操作が自分の特技だったとは気づきませんでした。そうして今、iPhoneやiPadを使ったプライベートレッスンを実施しています。主な受講者は視覚障害者やそのご家族、支援者などで、受講するにあたって目の状態は問いません。会場は、受講者のご自宅のときもあれば、カフェやカラオケボックスなどもあり、さまざまです。利用者が習得したいことを中心に教えています。
 レッスンの中で工夫している点は、聞くだけでは画面のデザインが把握しにくいため、マグネットボードに磁石を並べることによって、画面の構成を手で触れてイメージしてもらっていることです。スタートしたばかりのレッスンなので、仕事を継続できている理由についてはまだわかりません。私のまわりの支援してくださる方々が、目と手を貸してくださっていること、自分の技術の向上が今後の継続のポイントになると思っています。
 今後は個人レッスンだけではなく、医療や視覚障害者の教育の現場にも普及させられるようにしていきたいです。iPhoneやiPadなどのデジタル機器が今後今以上に私たちの目の代わりになるときがくることを信じて今後も活動していきたいと思います。

審査員コメント

ちょっとしたヒントで「できなければ困ること」ではなく、「できるようになればさらにQOL(生活の質)が良くなること」を視点にした就業は、公的な支援からは難しいことではあるが、ニーズは高いと思います。また、iPhoneやiPadを使ったレッスンは、FACE to FACEでなくても行え、人とのネットワーク展開にも広がると考えます。

プロフィール

 

井上 直也
MDSiサポート代表

高校卒業後、企業で8年間営業職を勤め、4年間飲食店で勤務。2014年に両眼とも網膜剥離の診断を受け、右目は失明していたことがわかる。現在は光を感じる程度。16年にプライベートレッスンを開始し、同年MDSiサポートを開業。

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