【就労事例部門】MSP賞③前田 憲志

英語講師や教材開発の経験を活かし、
「視覚情報サポートラジオ」を開設。

 英語講師として、学習塾の現場で受験を勝ち抜くためのスキルを磨き、同時に教材開発を行うなど、受験のためのノウハウを積み重ねるも、徐々に進行する網膜色素変性症は、教壇に立ち続ける願いを奪いました。光覚となった現在では、同じ会社の開発部門で、教材開発をしています。職場の理解と助けがあってこそ、自身のスキルが生かせる環境で、仕事ができることに感謝の日々を送っています。
 ある日、入力文の確認中、ある漢字の細かい所が思い出せなくなりました。「あの漢字のあの部分、どうやって書いたっけ?」家族に、友達に、同僚に、そっと聞いてみます。そんな日々、ふと思いました。
 「中途で視力をうしなった人々の多くが、同じ思いをしているのでは?」
 そこで友人と立ち上げたのが、「視覚情報サポートラジオ」(現在放送中)です。特に、点字の読めない多くの中途視覚障害者にとって、必要不可欠なその文字情報を、リクエストに応じ、音声でお届けする、新しいタイプのネットラジオ講座が番組の看板となりました。
 また、視覚に障害を抱えつつも、音楽を続けるアーティストを紹介していく「音楽コーナー」も、さらに多くの支持を得て、番組を盛り上げています。

審査員コメント

 YouTubeを媒体にして、視覚障害者の視点で知識・教養を高める番組作りを行われる実践は、ご自身の学習塾に勤務された経験をしっかりと生かしたものであると思います。多くの視覚障害者に支持される番組となることを期待しています。
 平時と災害時に活用ができると思います。人生に奥行きを与える生涯学習の場「ブラインド・ロービジョンスクール」の構想に期待します。

プロフィール

 

前田 憲志
学習塾・開発課勤務の会社員

大学では英語を専攻し、学生時代から学習塾の英語講師として、約15年間のキャリアを積む。
視力低下後も学習意欲は強く、様々な講座を受講するも、晴眼者向けのものしかないことに落胆。
今後、視覚障害者でも学べる、ウェブを生かした新世代のブラインドスクールの設立を目指す。

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