①いい映画とは・・・

  • 山田洋次監督いわく、「良い監督、脚本、俳優だけでなく、観る人の思いが組み合わさってつくられる」だからこそ、感情が伝わる。反響しあっていい映画ができる。
  • ②シネマデイジー

  • 音声解説がついた音声のみの映画。視覚障害者が映像をイメージできるように場面説明をしている。
  • 映画館では、スマホのアプリを使って音声ガイドを聴くことができる。
  • 音声ガイド付き(日本語字幕付き)映画は視覚障害者だけでなく、だれもが聴いてわかりやすいという点ではユニバーサル映画である。
  • 実際にシネマデイジーで「釣りバカ日誌」を聴いてみよう!
    映像がないラジオドラマのようなもの。
    パソコンでネットプレストークを使用。PTR3、リンクポケットと同じでPCで使える。
    タイトル、説明、あらすじ、キャストなどDVDのパッケージに書かれていることを読み上げる。
  • デイジー編集してあるので読み飛ばしもできる。
  • 本編は映画の主音声(セリフや背景音、音楽)と音声解説が聴こえてくる。
    「海岸。釣りをしている浜ちゃん、黒ダイを釣りあげる。黒ダイは50cmほど・・・。」
    解説がないと主音声だけではわからない。釣ったものもわからない。映像の情報は音だけではわからないことが多いので解説をつける。
  • 解説の音声と映画の元の音声のボリュームはかえられない。
  • 解説をつけるルールとしてセリフにかぶらないようにすること。2つのことを一緒に聴くのは難しい。セリフではなくガヤガヤした背景音の時は解説を入れる場合がある。
  • 映像の説明は客観的に伝える。そのまま、見たままを伝えるのがポイント。
    例えば、「かわいい服を着た」はNG。「水玉の服を着た」などと具体的に解説する。
  • 録音図書の場合は本のイラストや図は必要なら時間をとって説明できるが、映画はセリフの間の時間しかない。隙間時間に解説を入れるので何を伝えるかを考える。基本はいつ、どこで、誰が、何を、が大切。そういうところも聞いていると普段から視覚障害の方へ説明する仕方としてもポイントになる。
  • 映画の実際の背景音、効果音を大切にしている。聞いてわかるものは説明しない。
    例えば「ピーポーピーポー」という音は聴けば救急車とわかるので解説は入れないが、○○家の前に停まるという説明を入れる。必要のないことは説明しない。
  • 例2、戦のシーンで、『号令をかける秀吉』「かかれー」よりも、『軍配をかかげる秀吉』「かかれー」という解説を入れると大将(秀吉)の様子もわかるというような具合。
  • 意外と解説する時間はある。セリフとセリフの間の隙間時間が1秒しかない時でも場所の説明として「教室」は入れられる。1秒あれば場所の説明ができたりする。アナウンサーは1秒間で7~8音話す。
  • 無音の時間も大切にしている。
  • 音声解説で多い説明は音になってないもの。
    見る、見つめあう、視線、笑顔(声のない笑い)、ほころぶ、にっこりなど、
    言葉を適切に使う。しかも、言葉遣いが単調にならないように気をつけている。
  • 表現一覧表を作成していて、ガイドヘルパーさんが説明するときにも参考になる。林田さんオリジナルの表現一覧表は10年くらいかけて作っている。
  • 視線についてだけでも100個以上の表現がある。
    見る、見つめる、目をそらす、上目づかい、見すえる、見渡す、そむける、うつろ、見くだす・・・など。
    表情にもいろいろある。真面目、つまらない、困惑する、悲しむ、怒る、驚く
    ずかずか、のこのこ。心の動き、泣く表現、歩き方、自然など。最初は類語事典を調べていたが、思うようなものがなく表現一覧表を自分で作った。
  • シネマデイジーは点字図書館で作って、貸し出している。
    現在、636タイトル(日本作品356、外国作品202)、アニメは77タイトル。
    目録はサピエで確認できる。サピエでは2014年からアップされてこれまでに90万件以上ダウンロードされている。1タイトル1000-1500回ダウンロードされていて、利用数はもっと多い。一番人気は「アナと雪の女王」。
  • シネマデイジーをサピエで探す場合は、映画のタイトルに[シネマデイジー]をつけて検索する。
  • シネマデイジーの製作期間は1本3~4ヶ月くらい。製作担当者(ナレーター、校正を含む)は3~4人で行う。1作品を3分割して作る。
  • 複数人で制作するのは人によって見方が異なるから。例えば「タイタニック」という映画で、寝ている人がいるシーンで、「夢を見ている」、「死んだ」などと人によって解釈が違う。本当の解釈は監督しかわからないが異なる意見があるとどちらが正しいか話し合って決める。そして、さらに作ったあとですり合わせる。「タイタニック」では最終的に「目を閉じ横たわっている」という表現にとどめた。
    映画を見ていない人が最後に校正したり、視覚障害の人とモニター会をすることもある。
  • ③実際に「インビクタス/負けざるものたち」を観よう!

  • この映画はマンデラ大統領の話。南アフリカ・アパルトヘイトの時代の話でラグビーの試合の場面。人種差別がラグビーを通じて解消され、心が通じ合う話。ラグビーを知らなくても楽しめる。
  • 場所が変わったとき、説明がないとわからない。音声解説付き映画は観ている人が映画の中に入ってそこにいる感覚になる。この映画ではフィールドにいる感じになったりする。
  • 音声はステレオ音声、左右から違う音が出るので立体的な音になる。
  • 国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんが映画について著書に書かれている。
  • 「みるときは外にいる、聞く時はうちにいる。映画を観る鑑賞と聞く鑑賞とでは違いを一言で要約するとこうなるでしょうか。視覚障害者が副音声解説を聞きながら映画を楽しむ場合、しばしば出演者と共にドラマの中に入り込む感覚にとらわれます。自分も映画のストーリーに参加しているような錯覚は視覚では感じにくいものです。画面を見て映画鑑賞する際、大半の見える人はドラマの外にいて出演者の動きや背景を追いかけています。つまり、聞く人は参加者、見る人は観察者なのです。そもそも、聴覚情報は音の波動が耳から体内に入り、鼓膜を振動させることによって心と頭に直接届きます。」

  • 音の感覚で、頭のなかでイメージがぐっと広がる。「リング」というホラー映画は音がむちゃくちゃ怖い。音声で聴くと貞子に実際に追われている感じがする。怖いけど良い映画。
  • ④テレビ番組にも音声解説はある?

  • 新聞のテレビ欄に「解」の文字がついていれば音声解説付き。「多」(朝日新聞)「音声解説付」など新聞によって記載はさまざま。
  • 音声解説付き番組の割合は令和元年の数字で、NHK総合17.9%、教育20%、在京キー5局17.1%となっている。少しずつ上がっている。字幕は90%ついている。
  • ただし、この音声解説の数字は1日の中でも7時-24時の間に放送されている番組が対象(ただし、スポーツやニュースなどの生放送以外といった一部対象番組から除外された番組は含まれていない)。国の目標は15%

  • 音声解説はテレビの音声入力切替で聴ける。
  • 10ch 金曜ロードショー、ジブリ作品は大体音声解説がついている。関西では探偵ナイトスクープにはバラエティ風に音声解説がついている。
  • NHKは大河ドラマ、朝の連続テレビ小説についている。
  • スポーツ番組に音声解説をつけるのは難しい。生なので次に何が起きるかわからない。
  • ⑤「HELLO!MOVIE」「UDCast」

  • ニポラチャンネル第17回音声ガイドアプリの紹介で「HELLO!MOVIE」
    「UDCast」について紹介している。
  • 音声ガイドアプリの紹介

  • App Storeで検索。カタカナでOK
  • ニポラチャンネルではいろいろなアプリを説明している。
  • 音声ガイドのアプリでは今観れる上映中映画のリストが見れる。映画館に行く前に観たい映画を選んでダウンロードしておき、映画館でアプリを立ち上げると自動でスタートする。
  • 映画館ではイヤホンで聴く。自分だけに聴こえる。
  • シネマデイジーはDVD化されてからしか聴くことができないが、映画会社が作っているので新しい映画も楽しめる。年間60-70作品(日本作品)がリリースされ、話題の作品が多い。
  • シネマデイジーは視覚障害者限定だが、「HELLO!MOVIE」「UDCast」は誰でも利用できて無料。
  • 一般の人も聴くことでストーリーがわかりやすい。テレビの副音声も同じで一般の人も一緒に楽しめる。
  • ⑥UDCast体験

  • 音声ガイドアプリを開く→事前にダウンロードしておいた映画を選び映画が始まるのを待つ→待っている間はテストアナウンスが流れる→映画がスタートすると自動的に音声ガイドがスタートする(自動で同期する)。
  • 自動で同期するのはスマホのマイクが映画の音を感知してスタートするようになっている。映画の音の中にタイムコードが埋め込まれているので途中からでも大丈夫。
  • 映画会社で作ったものはDVDにも音声ガイドが組み込まれているので、メニューから音声ガイド付きを選んで視聴ができる。
  • 映画制作会社が作っているものを再度点字図書館でシネマデイジーとして作ることはできない。外国映画はシネマデイジーになっているものが多い。
  • テレビで放送される映画でも、音声ガイドアプリ対象の作品は、タイムコードが組み込まれたままになっているのでアプリを使って音声ガイドが聴ける。ただし、CMのたびに再起動が必要。
  • ⑦シネマデイジーにする作品の選定の仕方は?

  • 日本ライトハウスでは会議で決めている。大阪が舞台、話題になっているものなど利用者からのリクエストを中心に選定する。
  • シネマデイジーは全国で17施設が作っている。リクエストは共有しているので希望があれば点字図書館へご連絡を。
  • ⑧暗所視支援眼鏡 クラウドファンディングお知らせ

  • 今年もMW10暗所視支援眼鏡を全国の盲学校、視覚特別支援学校へ贈るためにクラウドファンディングを開始。
  • 今回で3年目。1年目は12校へ、2年目は5校へ、3年目の今年は5校へ贈る予定。
  • 詳しくは下記参照。
  • 暗所視支援眼鏡 クラウドファンディングお知らせ

    ⑨10/9(土)、10(日)エンジョイグッズサロン20thトークイベントお知らせ

    詳しくは下記参照。
    エンジョイグッズサロン20thトークイベントお知らせ

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