障がいを身近に、そして自分事に
視覚障がい当事者として携わる障がい者雇用

 私は自身のこれまでの経験から、どんな方にもまず障がいを身近且つ自分事として捉えてもらうことを大切にしています。これは就職活動時、視覚障がいへの理解不足を始めとした不採用を多く経験したこと、併せて日々の生活においても、障がい者は自分とは違うという感覚で語られることが多いこと等から、当事者の自分自身をきっかけにまず視覚障がい者を身近に感じてもらえればと考えるようになりました。
 仕事においても自身が視覚障がいであることを積極的に知ってもらうことと併せ、人事という立場からも「人生を最後まで健常者として生きられる方は非常に少ないこと」や、「老眼も視覚障がいの一種と考えれば我々はそれを先に経験している経験者であり、先々の皆さんの生活にもつながること」等、少しでも自分事として感じてもらえるよう努めています。
 当事者として苦しいことや壁にぶつかることもありますが、中途障がいの方の就労継続支援や、提案から運営まで携わっている社内マッサージルームの設置による視覚障がい者の新規雇用等を通じ、周囲や社内の意識もだんだんと変化してきており、やりがいを感じています。
 これからも視覚障がい、そして障がい者全体の更なる社会参加の促進に向けて、微力ではありますが当事者の一人として精一杯取り組んでいきます。

審査員コメント

 人事担当者として、中途視覚障害者の雇用継続や、ヘルスキーパー室の立ち上げとそれに伴う視覚障害者の新規採用など、同じ視覚障害者の雇用促進に取り組まれている点が素晴らしい。

プロフィール

 

寺島 崇央
会社員

1985年長野県生まれ、1歳前後で網膜芽細胞腫により全盲。
地域の保育園と盲学校で高校までを過ごし、理解者だけではない環境を経験するため大学へ進学。
苦難の就職活動の末、2007年に人事総務職種の総合職として現職に入社。
採用・勤務管理・障がい者雇用等多様な業務を経験し現在に至る。

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