点字とIT技術を駆使して自分の表現を発信!
第1詩集出版からみえた、物書きという可能性

 私は21歳頃から、音声読み上げソフトが入った携帯電話やパソコンを使って、それまで点字で書いてきた詩や小説を、インターネット上に投稿する活動を始めました。それまで同じ視覚障害者の人としか関わりのなかった自分にとって、自分と同じように詩や小説を書いている人や、朗読イベントを主催されている人、さらには出版関係者など、インターネットでの活動を通して、様々な人との出会いや、繋がりができたことは、とても大きな体験でした。そんな出会いと繋がりが重なったことで、2020年の1月に羽田光夏(はねだ ひか)というペンネームで、第1詩集「世界と繋がり合えるなら」を出版することができました。
 自分の作品が、本というかたちで、誰かの手に届くようになったことで、自分はこれから物書きとして生きていってもいいのかもしれないという自信がつきました。今後は詩集だけではなく、小説やエッセイも出版していけたらと考えています。

審査員コメント

 点字を使って作文し、それを読み取り漢字に直して、Webで投稿するという詩人に出会えた。点字を書く手段とすることで、音を大切にする自由な言葉の紡ぎが可能となったのだろうと思います。点字の価値を再発見できた思いがします。まさに継続は力なり。執筆の根底にあるのは書きたいという情熱、結果は後からついてくるもの。末永い活動継続を期待します。

プロフィール

 

新村 友紀
物書き

1987年静岡県出身。未熟児網膜症による、先天性の全盲の視覚障害者。
学生の頃から点字で詩や小説を書くようになり、21歳頃からはそれらの作品を、音声読み上げソフトが入った携帯電話やパソコンを使って、インターネット上に投稿するようになる。
2020年1月に、羽田光夏(はねだひか)というペンネームで第1詩集「世界と繋がり合えるなら」を出版。現在も投稿サイトのカクヨムやステキブンゲイ、noteなどで作品を投稿している。

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